「二月博多座大歌舞伎」 博多座

teru10162013-02-20

11時〜 5000円   
六代目中村勘九郎襲名披露、昼の部。 演目は3つ。夜の部に続いて3階席だが、その最後方の立ち見席に人がずらり!! すごい!! 幕見なのか若い人が多くて頭が下がる。

「吹雪峠」宇野信夫作・演出
やくざの世界での兄貴分である直吉(中村梅玉丈)の妻おえん(片岡孝太郎丈)を寝取った助蔵(中村扇雀丈)はいつ直吉に見つかるか気にしてばかり。 おえんのほうが開き直っていて堂々としているのだが、罪の意識に押しつぶされそうな助蔵はお寺に参詣したのちに帰りを急いで吹雪にあってしまう。 やっと山小屋を見つけて火をおこし一息ついていたところへまたも迷い客が、中に入ってきたその人こそが直吉だった。 驚く3人。 はたしてどういう展開になるのか・・・
話は単純だし、出演数も3人のみでとてもわかりやすい芝居だった。 シンプルなだけに心情の変化や表現が巧で恐れ、驚愕、悲しみ、安堵、などなど上手く表現されていた。 許すと言ったり、やっぱり我慢ならないと言ったり、気持ちの揺らぎがおもしろい。 あんなにかばいあっていた助蔵とおえんが互いに罵り合うのはそんなものかな〜と思うのだが、最後に「色より恋より情より、命を大事に生き延びろ」といって吹雪の中に出ていく直吉はかっこよかった。

「身替座禅」岡村柿紅作 常盤津連中、長唄囃子連中
浮気相手の花子に会いにいくために山蔭右京(勘九郎丈)は奥さんの玉の井片岡仁左衛門丈)持仏殿に籠って座禅をするから入ってくるなといい、嫌がる太郎冠者(七之助丈)に替わりに衾をかぶって籠るよう頼み、いそいそと出かけていく。 果たして太郎冠者を見破った玉の井は自分がまた衾をかぶって、右京の帰りを待つ。 酒や花子に酔った右京の様子やそれを聞く玉の井の様子が面白い。 右京は本当に色っぽくて、さすが勘九郎丈だ。 衣装も美しい。 3階席で残念なのは花道がよく見えないことで、ここで長く演技をされるとクヤシイな。 玉の井は以前同じ演目を観たときはかなりのご面相の役者さんだったで恐ろしさが際立っていたのだけど、今回の仁左衛門丈は美人だな〜 まあ美人のほうが怖いとはいうけど。 最後の追いまわしも、常磐津、長唄もお見事でした。 七之助丈は。。。やっぱり女形がいいなぁ〜〜〜^^;

「河内山 二幕」河竹黙阿弥
外題に「天衣紛上野初花」とつけられた大作のうちの序幕から二幕三場まで。
後家のおまきが経営している質屋にやってきて無理難題をふっかけているのはいつもの河内山宗俊仁左衛門丈)番頭は追っ払おうとしていたが、おまきが出てきて、娘を助ける知恵をくれと頼む。 和泉屋清兵衛(坂東弥十郎丈)も同様に宗俊に期待をする。 娘は奉公先の主人、松江出雲守(勘九郎丈)に見初められて妾にと請われていたが、許婚がいるので断ると、逆上、監禁、手打ちの危機にある。 一案を思いついた宗俊の作戦とは、救出できるのか・・・ 
二幕では松江邸に乗り込む僧道海に扮した宗俊と出雲守のやりとりがおもしろい、いやな家臣の大膳(片岡亀蔵丈)や家老の高木小左衛門(中村橋之助丈)などとのやりとりも見事で、最初は悪いやつだな〜と思っていた宗俊のすごさを堪能した。 それにしても昔の大名って門跡に弱いのだな。 僧が一番位が高いってのが分かった。 大立ち回りはなかったけど、五七調の語りで締めるラストは痛快なものだった。

次は六月歌舞伎。また観れるといいな(o^―^o)