「奪われた手紙 〜福岡民間検閲局〜」 甘棠館Show劇場

teru10162015-08-26


19時〜 3000円 ギンギラ太陽’s × 劇団ショーマンシップ 

脚本:生田晃二・大塚ムネト 演出:仲谷一志・大塚ムネト

戦後70年プロジェクトと銘打って、1か月のロングランを決行したギンギラ&ショーマンシップ。
ダブルキャストもあったので2公演くらい観たかったけど、どうにもこの日しか日程が取れずに千秋楽間近の観劇となった。

戦後の話、終戦を迎えて無事に戻った栄治郎は生き残った罪悪感を持ちながらも、友人の俊夫と英訳の仕事に就く。
しかし、そこはGHQの民間検閲局だった。私信を開封して中身をチェックして処分するかどうかの判断をする。
その目的はGHQに都合の悪いことが書かれていた場合に妙な洗脳をしないようにということだったのだが・・
メンバーは使命感で仕事をしている人もいたが、各自に思惑がある人が・・・

かなりシビアな作品だったけれど、そこが大塚×仲谷の面白さで、思惑を具現化して被り物で表現するという驚きの演出!
零戦とか鬼畜米英とか手紙とか。この場面に入ると笑ってしまってしょうがない、申し訳ないというか^^; 
それが入ると余計にシリアス場面になったときに重さが増したのも事実なのだが。

とても多くの出演者が登場したけれど、中でも主役の栄治郎(井上京介)と俊夫(中野隆)は熱くてすばらしかった。
零戦(栗野直樹)もむちゃくちゃ面白かった。ギンギラの世界にどっぷりだった。
女優陣も魅せてくれたな〜 ケイコアンダーソン(坪内陽子)桂谷睦子(杉山英美)林康子(上田裕子)
それぞれの歴史上での立場は全く違うのだけど精一杯の想いを演じていたと思う。

日替わりのゲストが登場。
私が観た回はDJ BUTCHさんだった。いつもFMで聞いているのですごく親近感はあるし、
一度中洲の芝居で観ているのでその堂々たる迫力は恐れ入りました。な感じw かっこいい♪

脚本の生田さんの挨拶文に心ひかれた。
史実に基づく作品なのでその情報収集には敬意を表した。、
そして「情報を相対化することの難しさ」を読んで目からうろこ。
あ〜〜流されるってこういうことなんだな、と。
今や簡単に手に入るようになった情報。それを取捨選別する目を養わなければいけないんだね。
そして仲谷さん、大塚さんの思いがタッグを組んで相乗効果をもたらしたことも重要だ。

劇場で配られていた1945年の新聞記事は長崎と福岡で全く印象の違う操作がなされていてぞっとした。
むろん今でもそういうことは絶対ないとは言えないのだろう。
情報が正しいかどうかを危ぶまないといけないとは、いったい便利なのか不便なのか。。

戦後70年。。あと数年もしたら戦争を覚えているものがいなくなる現実。
風化させないとりくみが各地で聞かれ頼もしく思ったと同時に
今の日本が進んでいる方向が本当は間違った方向なのではないか、という危惧感も感じる。