「二月花形歌舞伎」 博多座

teru10162018-02-07


16時〜 15000円 

一、義経千本桜 渡海屋大物浦

5年間、博多座での勘九郎丈の襲名披露のときに拝見して、すごく感動した。
今回は銀平(知盛)役は尾上松也丈。相模五郎に勘九郎丈、そして義経公に七之助丈、典侍の局に扇雀丈。
松也丈の知盛も素晴らしかった。最初は堂々と義経をあざむいたかのように見えたけれど、実は相手が一枚上手だった。
船の上の合戦で敗れたのちも最期まで堂々と戦い、最終的には海に身投げした知盛だが、
あのままでも当然死んでしまうほどの痛手を受けていたのにな。とつい疑問が。
これはあえて死に恥を晒したくないというプライドなのだろうか。義経たちが見守る中で
身体に縄を結わえて碇ともども海中に身投げした知盛に義経も敬意を表したと聞く。
最初は典侍の局に、もし負けるようなときは敵に恥ずかしくない最後を、と言い聞かせていたけれど、
安徳帝に対する義経の手厚い庇護を見て安心したと思う。

奮発してA席で鑑賞。舞台も花道も間近に観れて興奮さめやらぬ、一幕だった。

二、鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)

三島由紀夫
うって変わって、大変愉快でほっこりする芝居。三島由紀夫の作品とはちょっと信じられなかったな。
鰯売の猿源氏は都で評判の遊女蛍火を見染めた。思案のあげく宇都宮弾正に成りすまして揚屋に向かう。
酔い潰れて寝言を言う偽弾正に蛍火は・・・・

とても面白く痛快だった。そもそも昔の話は憤りの多い話しが多い中でこれだけすかっとする話しは久々だったかも。
勘九郎丈の猿源氏、七之助丈の蛍火、その怪しいまでも美しい演技に引き込まれた。
単純な話しだったけれど、面白くてこれぞ歌舞伎を広める手段ではないかと思った。
蛍火の膝枕で寝る猿源氏、花道で手に手を取って見つめ合う二人。
「可愛いな〜」というセリフがあったのだけど、これってまじで勘九郎丈が七之助丈に思ってることじゃなかろうかw
それほど絵になる二人だった。

ベテランが若手を引き立てる、素晴らしい花形歌舞伎だった。