「知盛の声がきこえる──『子午線の祀り』役者ノート」福岡市赤煉瓦文化館

2019年4月17日(水)

19時~ 演劇書を読む会

嵐圭史

原著「知盛逍遥」ハヤカワ演劇文庫

木下順二の名作に主演した著者による、戯曲論の傑作。
源平の戦いを壮大に描いた木下順二の名作「子午線の祀り」は1979年初演。
以来、1992年まで5回にわたり主演平知盛を演じつづけた著者は、
新劇・歌舞伎・能狂言など各分野の名優と競演。
その美しく力強い劇世界を創り上げていった。
戯曲を読み解く作業、呼吸法やせりふ術等の追求の過程でたどりついた境地とは。
長く前進座で活躍した名優が、役を創造する苦しみと喜びを綴る戯曲論の傑作。
(薙野さんのレジュメより)

嵐圭史さんは元前進座の役者さんで、氏と親交があった金田公広さんの
お話しをメインに聞いた。

子午線の祀り」ざくっとした内容は調べたけれど、詳細はわからない。
しかしこの著書でその戯曲の壮大さ、素晴らしさを垣間見ることができた。
後日、2017年版と1992年版の舞台上映を観ることになっている。

この作品の平知盛を演じた嵐圭史さんと前進座で同時期を過ごした
金田さんは20年以上も昔のことをよく覚えていて訥々と話してくださった。
以前、原田さんの話しを聞いたときもそう思ったのだけど、
なんてよく記憶されているのかと驚く。
楽しいばかりでない、生活的にも演劇的にも苦しい状況下での生活や
劇団での活動は忘れようにも忘れられないものかもしれない。

改めて演劇の世界の深さに驚く。
そういう場面を遠くからでも覗けることができて幸せだ。
読み物としてもすばらしい本書を、「子午線の祀り」を
鑑賞後にまた読んでみようと思う。

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