「六月博多座大歌舞伎」 博多座

2019年6月15日(土) 

16時半~  5000円 松竹 

夜の部

☆八重桐廓話 嫗山姥

イヤホンガイドがないと絶対わからなかっただろうと思われる、
結構入り組んだ内容だった。とても面白かった。
沢潟姫(尾上右近)に小唄を聞かせる煙草屋源七(中村芝翫)、
軽快な腰元のお歌(中村萬太郎)とのやり取りが面白い。
通りがかる八重桐(中村時蔵)は源七の元妻だった。
源七は実は坂田蔵人時行で、親の仇のため八重桐と離縁したのだが
複雑な事情で自害してしまい、八重桐に乗り移る。
そして八重桐は山姥のように敵を蹴散らし、のち坂田金時を産むという話し。
実にいろんな伏線があって、難しいなあ。
漠然とイヤホンガイドであらすじを知って、目立つ部分は面白く拝見する。
そういう見方になるな~歌舞伎や能は。
煙草屋を「ぱっぱや」と言ったり、悪者に煙草を吸わせて具合を悪くさせるとか
愉快な内容だった。タバコが悪になってしまった現代ではありえないね。
いつものように仇打ちの話しが多いけれど、それも今では作り話のように遠い。
女は強くて怖い、ということかな。

通力を得た八重桐は悪人たちを追い払う。通称を「しゃべり山姥」と言い、
八重桐が男を巡って同僚の遊女と争う様子を延々と喋るところが見どころ。
後半は鬼女のように変貌して立ち回りを見せる。

☆土蜘

河竹黙阿弥作の長唄の舞踊劇で、能「土蜘」を素材にしている。
こちらの話しはわかりやすいので、能舞台の美しさと胡蝶の舞や
土蜘蛛との立ち回りの見事さに見入った。
最初のあたりは頼光(中村梅枝)、胡蝶(尾上右近)、智籌(尾上菊之助
らの姿が美しくて、うっとり観ていたが、土蜘蛛に変わった智籌等の大立ち回り
の後半はその動きと運動量に驚いた。若くないとできないね。

蜘蛛の糸の振りかけなど歌舞伎美に溢れた演出が素晴らしい。


☆権三と助十

長屋住まいの権三(芝翫)と助十(尾上松録丈)は
無実の罪で牢死した彦兵衛の息子彦三郎(中村橋之助)のために、
真犯人らしき勘太郎坂東彦三郎)を奉行所に引き渡す。
だが、勘太郎は釈放され。。。。。

大岡政談の形を取った推理喜劇で江戸庶民の風俗や口先は勇ましいが内心は臆病、
喧嘩しながら助け合う江戸っ子の姿が活き活きと描かれる。

 

見ごたえ十分の三作品だった。

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