「オイル」 福岡市中央市民センター

2019年8月15日(木)  

14時~  2300円 演劇ユニット そめごころ 

作  野田秀樹
演出 石田聖也

1945年夏、アメリカの占領下におかれた戦後日本。
島根の地にやってきたアメリカ占領軍と、征服される者たち。
そこへ古代人の影が交錯し、物語はやがて原爆投下の瞬間へ。
(こりっちより)

再演だ、やっていたのは知っていたけれど、見逃していた。
置いていかれそうな最近のそめごころの演劇だけど、
観たかった。この時に。

私の年でも戦争は体験していない。父母は話したがらない。
なんとなく避けていた戦争の話題だけど、この時期には見直すようになった。

若い若い、そめごころのメンバーが必死で上演しているこの作品。
野田さんの思いを目いっぱい受け取って、自分たちなりの作品にしている。

古事記にでてくるらしい出雲と大和の戦いから始まって、
太平洋戦争や原爆、現代のテロなどのエンドレスな争いまで。
そしてオイルは「老いる」老いていく体験者たち。記憶力もなにもかも。

電話交換手にたとえたあの世の声を届けるイタコのような女性、富士。
どこにぶつけていいのかわかりえない恨み。
9.11の同時多発テロは日本人の起こしたことではないのに、
なぜあのような不気味なことばを。。。

あまりに特攻服が似合うゆえにヤマトが乗り移ったのではと思った田島さん。
のどが裂けんばかりの慟哭を繰り返す富士役のさかせさん。

アンサンブルのメンバーもセリフ以上に雄弁だった。
戦争の被害者、思い、恨み、さまざまな表現がみてとれた。

面白かった、とか楽しかった、とか言えない作品だけど、
とても良かった、観て良かった、やってもらって良かった。
福岡のメンバーがやってくれて良かった。

思いはきっと受け継がれる。


キャスト
富士    酒瀬川真世(che carino!/che carina!)
ヤマト   田島宏人(演劇ユニットそめごころ)
マサカ   横山祐香里(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)
ノンキダネ 立石義江
神宮寺醍子 根岸美利(非・売れ線系ビーナス)
元村長   福澤康仁
ヤミイチ  ヨウ手嶋
ロイヤ   藤田恵佳(演劇ユニットそめごころ)
コラバガ  池田義史(恋愛体質)
大國教授  田坂哲郎(非・売れ線系ビーナス)
日本人   上野隆樹(演劇ユニットそめごころ)
      君島史哉(演劇ユニットそめごころ)
アンサンブル アユム 江藤君佳 鬼塚梨帆 多田隈大志 野間銀智
       平川慶伍 藤井啓子 藤井隆乃 水田有咲 

f:id:teru1016:20190820161054j:plain