「水の駅」 ももちパレス

2021年9月5日(日)

13時~  3500円  主催アートマネージメントセンター福岡

作:太田省吾
演出:金世一   

「建前では人間の尊厳・生命重視を語るが本音では疑いと不信の
フィルターを通じて互いを見つめてあっている昨今の現実」
それに対する問題提起からスタートする
これは「言葉」ではない「沈黙」を通じて、観客に伝わりこの沈黙は
「隠すための沈黙ではなく共有するための沈黙」
都市の捨てられた生活廃棄物が山をなしているところに置かれた水道。
取っ手の壊れた蛇口から絶えず流れ続けている水
そこをすれ違う人々の不安、痛み、孤独と死
口から発する言語を捨てた沈黙の舞台では、人間の生活の本質的な叫びが広がる
耳で聞く客観的に概念化された言語ではなく五感を通じて
直感的に染みる言語が観客の「呼吸」を惹きつける
(公式サイトより)

上記や、ちらしからもわかるシンプルな舞台。
中央の水道からはちょろちょろと間断なく水が出ている。
セリフはいっさいないので、その音と、音楽のみが耳に届く。

いろいろな人が順番に登場するけれど、全編スローモーションでの移動なので、
息をひそめながら見守る。

Scene1 少女 竹内真
青いワンピースの少女が下手から上手へ。途中蛇口からコップで水を飲む。

Scene2 二人の男 陣内幸史郎、丸林孝太郎
大きな荷物を背負った男2人、蛇口に口を付けて水を飲む。少女がのぞいている。

Scene3 日傘を持つ女 坪内陽子
赤いラメのくたびれたドレス。ぼさぼさ髪、蛇口の水を頭からかぶる。

Scene4 夫婦 宮木秀明 吉田智恵
たくさんのぬいぐるみを乗せた乳母車を押す夫。妊婦らしき妻。
    山男 山下晶
小高い丘の上で、歯磨きをしたり、単眼鏡を覗いたり、夫婦をのぞき見したり。

Scene5 老婆 酒瀬川真世
大きな籠を背負った、腰の曲がった白髪の老婆。籠をおろして自らその中に入る。

Scene6 列の人々 進藤祐行、鈴木みらの、戸澤真治、富田文子
         ひらな唯夏、福田剛昌、本家徳久、松永檀
家族なのか?集団で移動。洗濯物を干したり水を飲んだり、遠くに手を振ったり。
10人いたようだったけど、勘違いかな?

Scene7 男と女 福地涼、山本由貴
荷物を持ちコートを着込んだ若い男女。それを脱いで下着姿になり、
水を飲む、かぶる、浸かる。さらにむつみ合う。
服を着て何もなかったかのように歩く。

Scene8 大きな荷物の男 濱吉清太郎
防塵マスクにライト付きヘルメット、炭鉱夫みたい。
靴を片方履き替えたり、ゴミの中からラジカセを拾って音楽を聴く。
なぜかジュリーの歌。

Scene9 少女 大恵彩乃
最初の少女と同じ服装。


3時間超の作品、途中うとうととする場面もあったけれど、
久しぶりに演劇らしい公演を観たかなという感じ。
SNSで、この作品の始まりから途中経過、いろんな役者やスタッフの話を観て、
このコロナ禍で本当に苦しんで楽しんで作り上げたのだなと実感した。
ももちパレスも久しぶりだったけど、見やすい劇場だ。
市民劇場のラインナップが貼ってあった。また観たいなぁ。

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