「ミュージカルの歴史 なぜ突然歌いだすのか」福岡市赤煉瓦文化館

2022年8月18日(木)

19時~ 演劇書を読む会

宮本直美 著

●今回読む演劇書
 「ミュージカルの歴史 なぜ突然歌いだすのか」
 (宮本直美著、2022年、中公新書、924円税込)
物語、台詞、歌で構成される舞台、ミュージカル。
ヨーロッパの歌劇と大衆的な娯楽ショーをルーツに、19世紀アメリカで誕生した。
本書はその本質を音楽に注目して探る。
ティン・パン・アレーのブロードウェイへの音楽供給から、
1920年代のラジオの流行、統合ミュージカルの成立、60年代のロックの影響、
80年代に隆盛するメガ・ミュージカル、そして2.5次元へ。
歴史を辿りつつ「なぜ突然歌いだすのか」という最大の謎に迫る。


著者の宮本氏は50代の若さではあるが、音楽系の研究者であり、
オペラやミュージカルなどの歴史、時代背景、衰退などについて、
造詣が深くて、とても興味深い考察をしている。
私はミュージカルってなんて楽しいんだ、ということしか思わないけれど、
様々なことに疑問を持って分析していくのが研究者だな、と思う。
彼女が言っている、「なぜ突然歌いだすのか」という謎は
私自身は思ったことがないので、多くの人はそう思っているのだろうか?
あと、『物語、台詞、歌で構成される舞台ミュージカル』と書いてあるけれど、
私の認識ではそれにダンスが加わる。
ミュージカルの初期にはなかったものかもしれない。
ヨーロッパのオペラ等が起源であることを考えれば、あの宮廷衣装では
踊りにくいかなと納得。

ブロードウェイミュージカルの初期から現在に至るまでの作品を見ると
日本でも観られたミュージカルの数々を思い出す。
そんなに長くない歴史だけど、当時の舞台と現在の舞台ではかなり進歩の
あとが見られるようだ。初期から観ている薙野さんがそう言っている。

レベルの高いミュージカルが観れる幸せはこの本を読んでさらに深まった。
生きているうちにブロードウェイに行きたいな。