「夕凪の街、桜の国」 映画

teru10162007-09-01

1000円 (1日映画の日
原作は漫画で、原爆や戦争をテーマに取り扱ったもの。(こうの文代原作)ナマの悲惨さはそこまで表現されてないけれど、原爆の後遺症に悩むある家族の物語を当時と現代で別々の表題として話が進む。まず「夕凪の街」原爆投下後13年目の広島が舞台、後遺症や妹を原爆で亡くした心の病気をかかえた皆実(みなみ)、同じく後遺症のある母フジミ、疎開していて難を逃れた弟の旭(あさひ)柔らかな風景はとても戦争を実感させないなつかしい描写で心温かくなった。しかし、現実は公衆風呂のシーンで体に必ずケロイド等のあとがある女性ばかり。でも大きな声で訴えることなく、苦しんで生きていくもの死んでいくもの。何が起こったのか言いたくてもいえない。知りたくても知ることができない。そういう弱者に焦点を当てたものだと思われる。皆実が発病し若くして死んで、「夕凪・・」は終わり・・・
「桜の国」平成19年の現代。東京に住む旭の子供は医者の凪生(なぎお)と娘の七波(ななみ)黙って広島へでかける旭を尾行する七波。なぜか友達の東子と会い、一緒に尾行。父を追っていく間に広島の風景をながめながら、父母が知り合い結婚に至るまでの回想シーンやおばあちゃん(フジミ)の亡くなるシーン。母が吐血して死ぬ場面のシーン、などがフラッシュバックされる。想像はつくものの心痛む場面が多かった。夕凪主役の麻生久美子、真っ白ではかなくてやわらかそうで実にぴったりの役だった。相手役の吉沢悠も当時の堅物な男性を象徴していてすごくよかった。そしてなんといっても夕凪での伊崎充則から年月を得た旭役の堺正章、感動しちゃったよ〜コメディアンだと思っていたから・・・(^^;; 田中麗奈現代っ子ながら、旭の子らしくきちんと原爆に向かい合うところなどとても好感を持った。もともと、この子は自然な演技が私のお気に入りなのだ。終戦60年も過ぎて、当時を知る人も少なくなりこういう映画も減っていくのかもしれないが、できるだけ伝えていかなければといまさらながら思った。