「青春の門 放浪篇」 北九州芸術劇場小劇場

teru10162008-03-20

19時〜 3000円 北九州芸術劇場プロデュース
五木寛之原作、鐘下辰男演出、椎木樹人(万能グローブガラパゴスダイナモス)主演。青春の門は結構はまって読んだ覚えがあるが、放浪篇は読んでいなかった。学生劇団での活動が書かれているとはまさしく舞台化するにふさわしい演目であるだろう。商業演劇から見始め、演劇を娯楽とだけ観ていた私は最近のさまざまな演劇評や演劇人の憂いを聞くにつけ、演劇は変わってきているのだと実感するようになってきた。そこにこの舞台である。妙に納得してしまった、公演に先立って、なぜ五木作品なのかなぜ鐘下演出なのか。そしてなぜ椎木さんなのか。いろいろ考えていたが、技術的なことだけでなく現代の演劇に対する警鐘として作っていることをアフタートークで鐘下さんの口から直接聞くことができ疑問は解決した。劇場パンフでも鐘下さんの題は「演劇よ、死ぬな」である。演劇の原点を見直すためにこの作品を北九州から発信することを非常に重要だと考えてくれている。椎木さんが出演するということでかなりミーハー的に期待していた舞台だったのだがそんなものではない、選ばれた役者達の心意気を感じ、それも作品や鐘下さんの演出がもたらしたものだと久しぶりに胸が熱くなる舞台だった。本当に観てよかった。時代は違えども原作と同年代の役者たちの熱い演技には感動した。それをひっぱっていたベテラン役者もしかりである。しかしたまたま飛ぶ劇場の役者さんが数人いたせいなのか、飛ぶ劇場の匂いがしたような気がしたのは不思議な気がする。椎木さんが主役なのに福岡の匂いはしなかった。何が違うのだろうか。これから東京へ移動なのだがきっと波紋を起こすに違いない。さまざまな思いが終結した演劇を多くの人に見てもらい感想をぜひ聞きたい。
3/28〜30 東京公演 劇場:あうるすぽっと(豊島区)http://www.owlspot.jp/