「101年目の太宰治 -冬の花火 春の枯葉-」 長崎チトセピア小ホール

teru10162010-08-22

14時〜 2500円 F's Company、ゼロソー
初F's Company、「フーズカンパニー」と読むらしい。 なんだか食べ物の会社みたいだな。 ゼロソーはおなじみ河野さん、松岡さんがいらっしゃるのだけど、なかなか福岡での公演がない。 前回のギムナジウムはちょっと内容的にどぎつかったので、今回は古典だし、ちょいと柔らかいかなと・・ どっこい、古い時代を覆すかのような女性が主役だ。 まずは「冬の花火」子どもを連れて実家に戻った娘、数枝(松岡優子)は育ての母であるあさ(篠崎雅)を慕っている。 出戻り娘を恥じる父伝兵衛(田中がん)の言い方は強烈。 いくら昔のことといえきついな〜  普通にみて数枝はそこまでも堕落していない。 それなのになぜここまで娘を追い詰めるのか。 それに比べてあさは盲目的に娘とその子睦子を愛し、世話する。 義理の仲でありながらのこの仲の良さは罠がありそうだったけど、あさが不治の病(癌?)で寝込んだことで全て帳消しになる。 数枝を慕う村の若者清蔵(川内清通)の狂気は伝兵衛と同じくありえない恐さだった。 さて、花火は何を象徴していたのだろう。 季節はずれにやることでの虚しさ、肉親でありながら心が通わないやるせなさ。 よくわからないなりにおもしろい作品だった。 これが太宰なのか。
もう一本「春の枯葉」どろどろとした男の女の関係を昔の女さながらの我慢強さで魅せた作品。 教師の野中弥一、節子夫婦はうまくいってない(田中俊亮、ますながあすか) 弥一は下宿している女性菊代(松本恵)と関係をもっている。 その兄義雄(古田翔太郎)は事実を知りながらも何もいえない・・・うひゃーという展開だったけど節子の耐える部分と奔放な菊代の対比がおもしろかった。 菊代役の女優さんが実に魅力的で、ほっそりした肢体である場面で踊ったのだけど、それはそれは魅力的だった。 その兄が小太りでその差も際立ったと思う。 枯葉は。。。。古くなり魅力のない人間関係を示しているのだろうか。 とにかくどちらも大変おもしろく、長崎まで一人で来た甲斐があった。 初めて福田さんを見たけど若いっ! 河野さんと同年らしい。 太宰を演ろうと思う試みこそ素晴らしい。 しかも太宰の提案は宮崎の永山さんだったと。福岡もガンバってw これからも見逃せない劇団だ。