「悪人」 映画 

teru10162010-09-20

1800円  
原作を読んだのは3年前? 結構衝撃的だったのだが、映画化されるとは思わなかった。 だってなんとも救いようのない読後感。 「それでもボクはやってない」などと同じ感じのもやもやした気分だった。 世の中の犯罪には冤罪もあり、どうしようもなく犯罪に至ったものもあり、逆に意識の低すぎる犯罪もありで、真実はどこにあるのか誰にもわからない。 自分がそこまで巻き込まれたことがないのでわからないのだけど、いつどうなってもおかしくない世の中だなと溜息をついたものだ。 だから、おもしろい!というわけではないけど、この作品の言いたいことをよく映画で表現できたなと感心した作品だった。 それもそのはず作家の吉田修一が映画脚本も手がけたらしくて、原作と大きく主題が変わることなく上演できたのだろう。 出会い系サイトでであった佳乃(満島ひかり)にバカにされた祐一(妻夫木聡)は発作的に佳乃を殺してしまう。 その後に会った光代(深津絵里)と本当の愛を見つけた祐一だったのが愛されれば愛されるほど自分の罪の大きさに苦しみながら逃避行を続ける。 最後の場所の灯台で逮捕の直前に彼女の首に手をかける祐一は真実の愛を得られて幸せだったのではないだろうか。 一方光代はどうだったのか、出会い系であった男が実は殺人犯だったと聞いても気持ちは揺るがなかった。 現実に戻って空ろな目をして働いている彼女に希望はあるのだろうか。 祐一の祖母役に樹木希林、佳乃の父親役に柄本明。濃厚な演技で素晴らしかった。 妻夫木聡深津絵里もそれぞれの役に埋没していたようで、恐ろしい気迫を感じた。 彼女はこれでモントリオール世界映画祭の最優秀女優賞を受賞、それもあわせて映画は好評上映中。 私がみたときもセンター席はほぼ満席だった。 舞台は長崎、佐賀、福岡三県にまたがっており、実際のロケも各地で行われたらしい。 福岡のカフェも使われていたが、どうやって選ばれるのでしょうね。 地元役者さんも知ってる限りで三人は出演していた。 博多弁、長崎弁、佐賀弁(?)交じりでなつかしい思いで鑑賞できた。 今期現在ベスト1の映画です。