「八日目の蝉」 映画 ちょっとネタバレ

teru10162011-05-11

1000円  
「優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。」というキャッチコピーが響く。 すごく観たかった作品。 内容にも役者さん的にも観たかった。 私には子供がいるのでどうしても親子の関係に思い入れがあるけれど、女の子はいないし、特殊な環境に育った子がどうなのか? とは理解しがたいところはあった。 原作は読んでいないので映画と比較はできなかったけど、やっぱり展開は早いなと思った。 いきなりの嬰児誘拐の裁判からだ。 そこまでの経緯を逆行していく内容。 不倫相手の子供を一目見たいと思い、鍵をかけずに夫を車で送る朝の数分の間に、赤ちゃんの顔を見たいだけといい聞かせながら連れ出してしまった希和子の恐ろしい行動。 絶対に許されることではない。 なのに、希和子に同情してしまうのは女性だからだろうか。 妊娠した状態で夫の愛人に最後通告を出す妻が鬼に思えたのはモラルより憐憫を思い起こさせる作品の作り方だろうか。 それでもやっぱり悪役の恵津子が可哀そうでならないのは産む辛さを味わった者の思い。 私は不妊治療の上での出産だったのでそこまで辛くはなかったけど、想像以上の痛みはできるなら味わいたくないものだった。 そうして産んだ子から拒絶される悲しみ。 希和子役の永作博美の熱演は凄まじいものだったし、恵津子役の森口瑤子のやりきれない思いの演技も切実に伝わった。 たんたんと逃亡生活をする4年間。 逃げきれるものなら逃げきりたかっただろう。 捕まったあとの恵理菜の苦悩を考えたらそれは自己中心としか言えない母性なのだけど。 一方、大人になった恵理菜(井上真央)とグループホームで一緒だったルポライターの千草(小池栄子)との絡みも非常に興味深い。 いろいろな場面で共感し、或いは反発し、すごくいい作品だと感じた。 今年ベスト1の作品です。 原作読みなう。 あ・・・全然男優に触れてなかったw そういう位置です、それも哀れ。