「11のささやかな嘘」 銀座みゆき館劇場 

teru10162011-07-17

13時〜 3500円  ジェットラグ  
連休を利用して上京。 今回は椿組以外はこりっちで気になるところをピックアップ、とは言ってもさすが東京、山ほど公演がありますな。 楽しい系もいいけどじっくり考える演劇を観たいなとここを選んでみた。 東京の知り合いもなんと2人もつきあってくれて感謝。 ジェットラグは初めてだったけど、客演で見知っている役者さんもいたしなにより作品が抜群におもしろかった。 作:ブラジリィー・アン・山田 演出:古川貴義(箱庭円舞曲)  推理ドラマというより、SFに近いのかな・・   作家ナツキシュウスケは『麦茶』という作品で芥川賞を受賞、しかしその後はひとつも完成作品を書けずに自殺。 今日はその四十九日だ。 作家らしく舞台の部屋は書けない苦悩の象徴かのように、紙くずであふれていた。 でも、のちに書くのはPCだけでした、って妻のことばに笑ったのだけど。 妻サキコの所へさまざまな弔問客が集まる。 重要なキャストっぽい担当編集者のヤマジ。 それから他の出版社のサワダ、友人のサカキ、駅でぶつかったタムラ。 ナツキの最期の作品を狙っているオシカワ、数年前につきあっていたチホ、自称唯一の弟子ヤヨイ、メル友エリナ、自称ライターイイジマ、なぜかネコの姿のネゴメ。 おーこれで11人だ。ナツキをめぐる11人がそろいもそろって四十九日に集まってきた。 とはいうものの・・・最初はこのネコに憑依?しているネゴメがネコとは気がつかず、普通の登場人物かと勘違い、途中であーこれは死んだ人の霊なんだとわかり、当然のようにナツキと思い込んだ。 そのうちあれ?あれ?あれ?とそっか、ネゴメだ。 最初のほうでちょっと伏線があったのに気がつかなくて、わー騙されたという感じw  何千万も貸していたとか、結婚の約束をしていたとか、不倫していたとか、何度も出てきたフレーズ「死人に口なし」まさしくそうだ、何が本当で何が嘘か、非常にあいまいで微妙な心理戦を生きている証かのように繰り広げる。 これだけ出演者がいればだれかに自分を投影できるので、多くの人がおもしろいと思えるのではないだろうか。 妻役の李千鶴さんはとても色っぽかったし、ラストの演出にはぞっとした。 しかし、やっぱり一番惹かれたのはヤマジ役の板垣雄亮さん。 とても迫力があった。 ネコ役の古山憲太郎さんもいい感じだった。 ネコらしくないというかネコ缶を食べさせられるとこはアドリブっぽくてちょっと笑った。 結局ナツキはどこにも出ていなかったのだけど、いない人がこれだけ浮かび上がるってのはすごい話だなと思う。 小さな小屋の目の前で繰り広げられるドラマ、これが小劇場の魅力だなと今更ながら感じた。 終演後に入り口で人物相関図を配られる。 そか、最初にわかっちゃおもしろくないからだ。 友人との会話が盛り上がる公演だった。 また機会があればみたい劇団だ。