「桜の園」 ぽんプラザホール 

teru10162011-11-11

19時半〜 3500円(ペア券料金) アントンクルー  
チェーホフの戯曲、四大戯曲の最終章。 私は今までアントンで「ワーニャ伯父さん」と「かもめ」は見てないので、「三人姉妹」に続いて2作目。 と言っても他にもチェーホフの作品はいろいろ上演されているようだ。 ほんとにチェーホフが大好きなんだろうな〜  代表の安永史明さんの挨拶文は感動だった。 勘タンさんのことに触れて、「日常で嫌だなぁと思うことがあったら、思い半ばで亡くなった人のことを考えて頑張ろうと言い聞かせる」と・・これは勘タンさんだけのことではなく、世界中の”思い半ばで亡くなる人”に対してグチなんてこぼしていられないということだと思う、私も肝に銘じたい。 ロシアの「桜の園」の持ち主で永遠の童女、ラネーフスカヤ(玄海椿)はここが競売にかけられるということで、パリの恋人と分かれて戻ってきた。 養女と娘のワーリャ(酒瀬川真世)、アーニャ(高山実花)はそんなラネーフスカヤが心配でしょうがない。 兄のガーエフ(東是信)も同じくらい能天気のようだ。 ただ一人、商人ロパーヒン(岩井眞實)は助言をするのだがラネーフスカヤは聞く耳を持たずに散財し続ける。 そして「桜の園」は競売にかけられ、落札したのはなんとロパーヒンその人であった。。。。    貴族の没落を見る者の哀愁を誘うように作られた作品のようだが、いつまでも天然のラネーフスカヤや恋に生きる若きアーニャ、ワーリャは暗いイメージが全くない。 チェーホフはこれを喜劇と称している。 笑える部分ももちろんいろいろあった。 トロフィーモフ(栃原純司)の無理がある学生ぶり、ヤーシャ(旋風三十郎)とドゥニャーシャ(木村佳南子)とのやりとり、エピホードフ(影灯和総)の悲恋、シャルロッタ(峰尾かおり)のマジック、フィールス(伏見武)のボケ具合、ピーシチク(山口ミチロ)の妙な反応、浮浪者(稲口マンゾ)の貧しさ。 それらも全部含めて「桜の園」の愛すべき人々は実に大人の舞台を魅せてくれた。 宮沢氏の「チェーホフの戦争」をちょうど読んでいるので、「桜の園」のいろんな方面からの観方も試してみた。 しかし、今回はいろんな役者さんが観れたし、とても面白かった。 玄海さんははまり役だった、素晴らしかった! 成功者ロパーヒンの自信を岩井さんが堂々と表現していた。 若い役者さんもみんな良かった、フィールスだけは若い人が老人を演っているのがもろわかりで、キャスト的にどうかな?と思った。 でも、四方客席もいいし、舞台の桜をイメージしたタペストリーも良かったし、音楽も好みだった。 派手ではないけど古典はいろんな解釈ができていいなぁと思った。 映像で観た蜷川演出の「かもめ」やばぁくうの「ワーニャ伯父さん」を思い返した。 さて、アントンクルーはこれからどの方向に向かうのだろう。