「90ミニッツ」 キャナルシティ劇場

teru10162012-01-29

13時〜 8400円  パルコプロデュース
作・演出:三谷幸喜、出演:西村雅彦、近藤芳正
二人芝居、この舞台を見れてよかった。 三谷さんの映画はとても好きだし、舞台はDVDでしか見ていないけど、笑える作品の数々で好みのものが多い。 西村さんもコメディの人かと思っていたので、しょっぱなからの低い抑えた声、演技が逆に新鮮。 2列目の近さにも感謝。 たぶん後方ではわからない汗とつばの飛び具合が生々しい。 近藤さんは特殊な信仰を持つ人を演じていたけど、あまり説得力がない部分がちょっと笑える。 いちいち妻に電話して指示を仰ぐというのも可笑しい。 西村さん演じる医者は家を買うなどの現実から医者としての立場への移行の部分が急激で、直接的に笑わせているわけではないけど、これまた笑える。 
私には信仰心がない。 周りにもいろんな信仰をしている人がいるけどそこまでのめりこめる要因って何なのだろう? 末期がんを宣告されてからキリスト教に転向した人を知っている。 いっさいの予防接種を子供に受けさせない人も知っている。 信仰には救いを求めるかもしれない。 だが、彼のように地区全体がそういうものだと言う説明には恐怖すら感じる。
交通事故で運ばれた子ども、タイムリミットはあるものの、輸血して手術すれば間違いなく治る。 その状況で、手術の承諾書を迫る医者と患者の親とのやりとり。 子どもの命が助かるためには90分の猶予しかない。 輸血を拒む親と説得する医者の会話がおもしろい。 最初は簡単に説得できるという自信たっぷりであった医者がたじたじとなっていく様が興味深い。 部分的に展開が緩くなったところはあったものの、最後まで目が離せなかった。 ラストの奇跡は起こらなかった。
心情的に医者のほうに気持ちが非常に傾く。 テーマ的にかなり入り込んだところはある。 基本的に生死にかかわることが家族にあれば、どうするだろう?ってこと。 自分も含めて、大きな運命に従いたいというのが私の考え。 具体的にはここでは書かないけど、医療状況も変わってくるので定期的に考えなおす必要はあるかもしれない。 今回の子供のように意思決定権を失っている状態になったときでも、ちゃんと家族を困らせないようにしておきたい、それが大人の態度だろうと思う。 まだ生きるつもりだけど、人間いつどうなるかわからないから、遺言はきちんとしておこう。 今年の目標。
舞台中央上部からずっと流おちる一筋の水、90分の命のリミットを表している。
観劇後に演劇人のM井さんとお話した。やっぱり演劇っておもしろいな〜