「NADJA 夜と骰子とドグラマグラ」 ベイサイドプレイス特設会場

teru10162012-05-26

19時〜 3500円 水族館劇場
脚本・演出 桃山邑
九大で行われたプレ公演を経て、今回の本公演となった。 ドグラマグラをちょっと読み聞きして少し予習したつもりだったのだけど、やっぱりストーリーを追うには難しい作品だった。 ベイサイドに作られたテント小屋は一見コンパクト。 名付けて「海の砦」 その小屋入りの前にまず会場外でのプロローグ、走りまわる人、自転車で乗りつける警官、建物の上方から顔を出すあやしい者たち、登場人物勢揃いで歌(?)を歌う。 鎮魂歌のような暗い感じ。 まだ明るい時間だったので怖さはなかったけど、舞台の雰囲気を味わえた。 通りがかりの人に訴えるには効果があるかも。 ただし、ここはベイサイドどん詰まりの場所なのでそれもあまり期待はできないかな。 それから整理番号順に整然と入場する。 入口の階段を上って入ると、急勾配の階段状に作られた客席の最後方、最上階に出る。 コンパクトだけどかなり入りそうな客席だ! そして前方舞台は前回の小倉のときと似ているような気がする。 中央に水を張った池、左右に古い家、奥に病院らしき建物。 これが実に3方向での回り舞台! 上方にもしかけらしきものがたくさんある。 始まる前からどきどき・・ 
中央ササ船に乗った女と白いスーツの男のシーンより。 夢の中であったり時間をさかのぼったり、場所を変え人を変え、いろんなシーンでさまざまな関係の人物が繋がっていく。 正直言って九大の時より更にわかりにくくなっていたのだけど、快適な客席から見る芝居は妄想をかきたててくれる。 個々のシーンを楽しむことができた。 個人的には久しぶりの役者をした渡辺ハンキン浩二さんを見れたのが最高だった。 前回の糸姫に加えて、蛇女の雪乃、この2人は妖しいばかりに美しい。 看護婦ユリも綺麗だ。 そして老練、がらやぴかどんの存在感はいかなるばかりか。 チイ、鉄子も相変わらず上手い。 こうしてみると女性のほうがほんとに個性的ですごいキャラクターが多い。 それにしてもここは本当に芝居が上手い人とそうでない人の差が激しいなぁ。 だけどみんな全然そんなこと気にしていないようなのだ、役者も観客も。 私はそこまでの境地に達せず某役者さんがしゃべるときは手に力が入ってしまう。 しかも場転のときに休憩はあえて取らずにコントをする、これがまた行き当たりばったりでみんな笑ってるけど私は苦笑いしかでない。 一人だけ浮いているような感じも気の毒だしね。 まあそれやこれやも含めての水族館劇場なんだろうな。 もっと言えば終了後の打ち上げに参加してこそ100%なのかも。 さすがに3時間超の公演後は居残れなかったので残念だった。 ふんだんに水を使った演出は手作りだからこそすごいと思う。 中央の池には何人もの人が沈んでいった。 泳げない人は団員にはなれないね。 ラストのお約束の前方の壁崩壊の先には都市高速のシルエットがくっきり。 はるか昔と現代が繋がった瞬間に感動。 テント芝居ではこの場面が一番好きだ。 夢のような世界だけど厳しい現実を示しているようでもあるこの芝居。 やっぱりあとを引くな。