「悼む人」 キャナルシティ劇場 

teru10162012-11-14

14時〜 8400円 パルコ製作  
原作:天童荒太 演出:堤幸彦 出演:向井理小西真奈美
向井くんが主演ということもあって早々にチケットsold out。 ひゃーさすがだ。 今回は内容は知らないものの天童荒太の作品だったし、手塚とおるさんも出演ということで、頑張ってチケットゲット♪ 観て良かった。 最高だった。 現代に巣食っている問題を取り上げていることもあるし、役者がすごくはまっていた。
「悼む人」と呼ばれる坂築静人(向井理)は肉親や親友の死から故人を「悼む」ということに気持ちが向かっていき、遂には見ず知らずの日本中の人々の死を悼む旅に出るようになる。 「悼む人」というのはネット上で静人の呼称。 有名になってしまった彼に興味を持つ雑誌記者の薪野抗太郎(手塚とおる) 静人が悼んだある男性、甲水朔也の妻であり朔也を殺した女、奈儀倖世(小西真奈美) 静人の母、末期ガンを患っている巡子(伊藤蘭) 妹で未婚の母となろうとしている美汐(真野恵里菜) 4人との関わりを描く。 開演前や休憩時間にずっと映像で流れる人の死に関する覚書、おそらく静人が書いたと思われるもの。 死んだ人の名前、年齢、場所、周りの人とのこと、最も重要なのは「誰に愛され、誰を愛し、どんなことで感謝されていたか」自殺とか他殺とかあまり頓着していない。 静人は病気だと言っていたけど、これは神の生まれ変わり以外にありえない。 そもそも自分の知らない人の死にこれだけの感覚を抱くことがありえないと思うのだ。 それと共鳴していたのか朔也と倖世夫婦の有り方もちょっと常人では考えられない。 朔也の方が常識を超えていた感じはするけれど、一般的なSMの奇癖とはまた違い、殺してですって??  んー怖すぎる。 それでも倖世が最後にはその呪縛から解き放たれて一人で進もうとすることには拍手を送った。 個人的には母の立場で巡子に感情移入。 影の薄い父親にも同情はするものの、やっぱり逃げないで最後まで息子を気遣う母の方にエールを送りたい。
舞台装置はシンプルだったけど、映像用のスクリーンと枠?が上方から降りてくるのが効果的。 朔也をイメージしていた目玉っぽい映像もすごくおもしろい。 しゃべるたびに揺れる。 朔也の声を代読する倖世もいい。 倖世では舌っ足らずなしゃべり方が凄みをきかせた朔也に変わるところが良かった。 薪野もいいキャラクターだった。 最初は憎たらしい感じだったけど、父親が危篤のときに未青年のデリヘル嬢とのいきさつから最後は盲目になり笑をとりながらもいい人になったのがほっとした。 やっぱり人はみんないい人なんだ。 蘭ちゃんの演技は初めて観たけど、女優だと思った。 いつアイドルから女優になったのだろう。 もし余命が分かっても巡子のように明るく生きていきたい。 ここのところ切実にそう思う。 歳とったな〜〜笑  いい演劇だった。 本当に観れて良かった。