「1471のシェイクスピア」 大名クロスガーデン

teru10162014-03-05

19時〜 1750円(ペア券ひとり分) アントンクルー

脚本 : 岩井眞實  演出 : 安永史明

教会での芝居は初めて。 舞台装置は簡単なものだけ、特に照明や音響に関しても凝った装置があったような気がしない。
シンプルな祭壇の前で繰り広げられる面白くも切ないシェイクスピア悲劇(喜劇?)
天井はもちろん高くて非常に音の通りがいい、響く感じもする。 白い壁に厳かな十字架。 清々しい。

シェイクスピア十二夜とかロミオとジュリエットとか夏の夜の夢などの悲喜劇はわかりやすいのだけど、
リチャード〇世とかヘンリー○世とかになってくるとその歴史的背景がさっぱりわからずに筋を追いかけられなくなる。
これもそのリチャードやらヘンリーやらが出てくるのでわかるだろうか?と不安だったけど、
相関図も写真入りでわかりやすく説明があってとても助かった。

100年戦争のちのイギリス国内でのヨーク家とランカスター家の争い(薔薇戦争)を題材にしたもの。
国内でどちらが王位をとるかがなぜ重要なのかはわからないままだったが、その周りの家族や部下の一生懸命さが哀れで可笑しかった。
飾り物のような王のエドワード(栃原純司)とヘンリー(米澤亮太)の間で王冠が行き来するのは愚かだな〜と笑える。
ヨーク家で一番賢かったのはリチャード(岩井眞寛)だったのか、妻のアン(亀岡紋加)をも利用して王座奪還を図る。 
それとも寝返ったウォリック(東是信)だったか、当時の忠誠心もあてにならない。
ヨーク家のエリザベス(清水さなえ)は妖艶さ炸裂、ランカスター家のマーガレット(岡本直華)は美人で迫力あったな〜 
いつの世も一番強いのは女ということか。 そしてフランスの政略結婚に利用されようとしたボウナ姫(立石義江)もしたたかで溜飲が下がった。
そして、ジョージ(川中吉幸)のカツラネタをあんな風に使うとは驚いたけど相当笑えた。
ストーリーテラーのボウナ姫とリチャードは熱演。上手に芝居の流れを作り、シェイクスピアのテンポを崩さずに再現。

ところで1471とはなんだろう、と考えたらどうもエドワード4世が再度王位を得た年のようである。違ってたらごめんなさい。
客に考えさせるタイトルの付け方ってかっこいいよね。

この時代の男は戦いのことしか考えておらず、女も政略結婚でしか利用価値がないとしていたと思う中で、エドワード4世が身分違いの
エリザベスを妻としたことだけがなんとなくほっとしたところ。ただこの男、かなり女好きだったのはどうにもいやらしいがw

素敵な空間でいい時間を過ごせた。またここで観たいなと思わせる。