「ぬれぎぬ」 西鉄ホール

teru10162015-05-30


19時〜 9800円(共通チケット) アマヤドリ

作・演出 広田淳一

前回福岡でアマヤドリを観たのは、ぽんプラザホール。都会的な感じの会話劇だったと記憶している。
というか広田さんの印象がすごく強くて、今回も変わらずに元気な方だなぁと感じた。

日本だけどちょっと近未来的な感じがする行政特区。ここでは「自由」が拡大解釈されている。
刑務所も民間のソーシャルワーカーが入り込んで「心からの反省」を促す。
派遣社員だけどハードワークを強いられる向井と有島の夫婦。
担当の受刑者とは平行線のまま、残業続きで披露困憊。
そのうえ婚姻制度はなくなったとはいえ、二人の間の不貞な様相が出てきて。。

有島役の女性が小柄で可愛い。しゃべり方や動きがすごく自然で芯の強い女性を演じていた。
仕事がうまくいかなくても前向きに頑張っていたのに、ごくさらっと不貞をおかしているというギャップに驚いた。
しかも相手は会社の上司。調子のいいだけの熱血上司だけどなぜ??? 
しかも「ごめん」とは言うものの本当に悪いと思ってんの?って感じにも。
まだ向井の反応のほうが理解できた。当然だけどね。
 
自説を曲げない受刑者の門田と占部の二人は不気味だったけど、占部はまだ人間的だった。
門田は実は真実を隠し通していたということが非人間的な原因だったのかな。
門田に殺された女性の姉役は極々自然だった。私もそうなるだろう。
こんな理不尽に対する気持ちの持って行き場のなさは絶望的だ。

想像力があまりない私にとって、しっかりした会話劇はそれだけで面白い。
もちろん、いろいろ考える余地はあるのだけど。
単純な問いかけだけど、この「人は人を殺していいのか」ということの複雑さはいつも考えていることだ。
年取ってなおさら深く思うようになった。

福岡演劇フェスティバル、締めの作品だった。
これで最後かと思うと寂しくもあるけれど、次につながる作品の数々だったかな〜と思い返す。
共通チケットでみた演劇他は7作品。 自分で選ぶのなら観ないような作品もあったので良かったと思う。
少し規模が小さくなっている感じはするけどね。来年はどういうラインナップだろう。

キャスト
向井:松下仁
有島:笠井里美
門田:糸山和則
佐野:小角まや
占部:中村早香
遠藤:沼田星麻
村田:榊菜津美