「六月博多座大歌舞伎」 博多座

teru10162017-06-14


16時半〜 5000円

口上がある夜の部

一、信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまがっせん) 輝虎配膳

長尾輝虎、後の上杉謙信梅玉丈)は武田信玄の軍師勘介を味方にしようとその妹唐衣(児太郎丈)が
臣下の直江山城守に嫁いでいることを利用して、勘介の母、越路(魁春丈)を招き、もてなそうとする。
芯の強い越路はその手に乗るかと、配膳までしてきた輝虎に無礼千万の振る舞い。
手打ちも辞さない覚悟だったけれど、付添のことばが不自由な嫁、お勝(菊之助丈)の機転により一命をとりとめる。
越路の強さみなぎる様相や、おどおどするお勝が琴を弾きだすと自信みなぎる様が見事。
女方の強さに比べて、配膳までしてご機嫌を取ろうとする輝虎にはちょっと興ざめ。それが戦略なのかしら。

二、口上

 八代目中村芝翫丈、四代目中村橋之助丈、三代目中村福之助丈、四代目中村歌之助の親子四人が襲名披露。
お祝いのことばは最後は歌舞伎調でも、中身はおもしろおかしく笑いを誘う挨拶も多くて、襲名の四人がいかに愛されているかわかるものだった。
女方だと思っていた菊之助丈が立役の衣装でご挨拶されたのがあまりみない格好なので見惚れた。ほんとにお顔がキレイだわ〜

三、祝勢揃壽連獅子(せいぞろいことぶきれんじし)

 親が心を鬼にして子を谷底へ蹴落とし、這い上がってきた子だけを育てるという古事に習った勇壮な長唄舞踏。
襲名の親子が実際に親獅子、子獅子を演じて、最初は手獅子を操っているけれど、後、親子獅子の精が現れ、勇壮な毛振りで舞い納める。
二人の連獅子の舞台は見たことはあるけれど、四人のそれは豪華絢爛!! いつも思うけどよく目が回らないなぁとw
実際の親子共演だから、気持ち的には芝翫丈の子らへの思いが詰まった作品になっているのがよくわかる、感動。
谷底から這いあがるのに疲れた小獅子たちが花道にどっかと座ってる様子がちらりと見える。うーん、こういうときは花道を観たいなぁ。

四、幸助餅(こうすけもち)

 どこかで観たことがあると思ったら、松竹新喜劇藤山寛美主演の作品を映像で観ていたのだった。
人情喜劇は笑って泣いて後味爽やかだ。 
米問屋の大将幸助(雁治郎丈)は関取の雷”いかづち”(亀鶴丈)に入れあげて散財。妹を身売りさせてお金を工面させるほど。
雷は幸助にわざと冷たくあたり、その怒りの力で”幸助餅”を繁盛させる。
のち、事実を知った幸助は雷と和解してハッピーエンド♪
歌舞伎らしくはないけれど、妹お袖(児太郎丈)、女房おきみ(橘太郎丈)、三ツ扇屋のお柳(魁春丈)ら女方の優しさも十分に見えて
とてもいい舞台だった。

昼夜公演とも秀逸な作品ばかりでとても楽しい時間を過ごせた。