「赤道の下のマクベス」 北九州芸術劇場中劇場

teru10162018-04-15


14時〜 5000円 制作:新国立劇場

作・演出 鄭 義信

1947年夏、シンガポールチャンギ刑務所。

死刑囚が収容される監獄・Pホールは、演劇にあこがれ、ぼろぼろになるまで
シェイクスピアの『マクベス』を読んでいた朴南星(パク・ナムソン)、
戦犯となった自分の身を嘆いてはめそめそ泣く李文平(イ・ムンピョン)、
一度無罪で釈放されたにも関わらず、再び捕まり
二度目の死刑判決を受けるはめになった金春吉(キム・チュンギル)など朝鮮人の元捕虜監視員と、
元日本軍人の山形や黒田、小西など、複雑なメンバーで構成されていた。

BC級戦犯である彼らは、わずかばかりの食料に腹をすかし、時には看守からのリンチを受け、
肉体的にも精神的にも熾烈極まる日々を送っていた。

ただただ死刑執行を待つ日々......そして、ついにその日が訪れた時......。公式サイトより。

以前、「焼肉ドラゴン」を北九州で観た。鄭さんの作品をまた観れて良かった。
戦争に関する話しは演劇や映画からだけなので貴重だ。

戦争が終わっているのにこういうことが行われていたとは衝撃だ。
舞台セットは史実にかなり忠実に作られていた。
絞首台を毎日、見あげる死刑囚たちはよく気が狂わなかったと思う。
上官や軍隊や国に怒りをぶつけても状況は変わらない。
ただ、舞台を観ただけではよくわからない部分もたくさんあった。
なぜ、日本人と朝鮮人が同じように捌かれているのか。
なぜ英国兵なのか。 捕虜監視員とはどんな仕事なのか。
500円のパンフレットが実にわかりやすく解説してくれていた。
キャンギ刑務所や、BC級戦犯についての事実と背景。

そしてそれが決して平等なものでなかったのは真実だ。
今は平和だけれど、こんな世の中にならないとは限らない。
もう少し意識を持たないといけないのだろう。

実に重いテーマの作品だったけれど、ちょっとだけ笑いも入っていたのは救いだ。
本当は死刑宣告を受けてあんなに落ち着いていられるのかわからないのだけど、
特に、マクベスになろうとするナムソン。そして彼を息子のように見つめている黒田。
決して心穏やかなわけではないのに、落ち着いていて逆に胸が痛い。
ムンピョンの嘆き、チュンギルの山形に対する怒り。小西の叫び。
そのどれもが当然のように思える。

池内さんのナムソンはカッコよかったな〜
とても飢餓状態とは思えない裸体だったけどw
なぜマクベスだったのか、はパンフレットで鄭さんが書いていたけれど、
よくわからない部分だったな。
平田さんは味があるね〜 碁はお金のかからない娯楽だ。手製の碁石が良かった。
浅野さんの山形大尉が一番当時の軍人を現している感じだった。
8年ぶりの丸山厚人さんはひとまわり体ががっしりしていていい役者さんになったいた。
絶叫型は椿組の芝居のときと変わってない。

カーテンコールで鄭さんが客席から呼び出されて上がってこられた。
あまり昔と変わらない。まだお若いのでこれからも精力的に芝居を作っていただきたいものだ。
といいながら、私と同じ歳ではないか(笑) 私も頑張らねば。 

キャスト
朴南星(パク・ナムソン)  池内博之
山形武雄         浅野雅博 
李文平(イ・ムンピョン)  尾上寛之 
金春吉(キム・チュンギル) 丸山厚人 
黒田直次郎        平田 満  

小西誠之         木津誠之 
ナラヤナン        チョウ ヨンホ 
看守A          岩男海史 
看守B          中西良介