「欺瞞と戯言」 ももちパレス 

teru10162012-10-02

19時〜 4000円(シアタークラブ) トム・プロジェクト プロデュース  
作・演出 中津留章仁 
舞台は重厚そうな洋館の室内、応接セットやライティングビューロー、ドアまでも凝っていて舞台セットとは思えない作り。 なかなかの見ごたえだ。 欺瞞、戯言、なんだかわかるようなわからないような。 漢字と言うよりその意味にゲシュタルト崩壊。 とにかく疑ってかかるというネガティブ思考の話かな。
華族出身で会社をいくつも持っている名門タキガワ家、だがその主宰は2年も行方不明のままだった。 その妻レイラ(竹下景子)と息子ケント(真山章志)は彼を待ちつつも経営をせざるをえない。 先代より度量のないケントは社長として信頼がない。 政略でなんとか海運会社の娘カレン(岸田茜)と結婚したものの、家庭も仕事もうまく回らない。 会社の労働組合の代表はかつてレイラと恋仲にあったダン(長谷川初範) 組合の要望を持ってタキガワ家にやってくるが、レイラにも今でも想いがある。 先代の弟ジョウジ(下条アトム)もまたレイラに恋していた。 ダンは実はレイラの申し出で先代の死因を調べていた模様。 そしてそれが身内による落としということがわかって愕然とするレイラ。 はたして会社運営の行方は、三角関係の行方は・・・・
推理ドラマっぽい様相もあったけど、先代の行方不明の原因は私にも容易に想像できた。 親族企業は都合の悪いことを言いだす者を抹殺するんだろうなって。 やはり、先代だけでなくその前にもこういうことはあったらしい。 おーやだやだ。。 そのあたりの謎ときは普通におもしろかったけど、私はやっぱりレイラの女性としてのその地位の低さへの抵抗とかカレンへの言い聞かせが胸に染みた。 淡々として冷静に物事を解決していく。 ダンとの恋愛も決して道を踏み外すことなく成就したところに驚きを感じる。 さて何が欺瞞かというと自分自身の気持ちへの欺瞞ってことかな。。 と私は解釈。 また息子への驚くべき自己犠牲。 労働者たちの群れに発砲した息子をかばって出頭するなんて、親ばかにもほどがあると思った・・・・ でもよく考えたら息子ではなくその会社従業員への愛なのかな。 なんだか・・・もやもやっとした気分のままで終演。 華族も経営者もその気持ちがわからないので感情移入は難しかった。 唯一母の心情にはほだされたが、平民のそれとは若干違う気もした。 とはいえ、竹下景子ほか芸達者な面々の演技を楽しめた。 ももちパレス800キャパの後方にけっこう空席があった。 なかなか地味な作品は集客が難しいようだ。 シアタークラブも今回で終了。 会員が増えなかったんだろうな。