「手を振る」 ぽんプラザホール

2019年5月17日(金) 

19時半~  2500円 ヒカリノオト

作・演出 松岡伸哉

高齢の母に付き纏う介護の問題。若かりし二人に伸し掛かる母子家庭の現実。
五十歳を過ぎた人生に見え隠れする、これからのこと。
現代社会が抱える問題を真っ向から切り取り、あの頃も今も「変わらないこと」。
そして「変わっていくこと」を描く、普遍的家族の物語。
その物語は今日も、未だ見ぬ明日に向かって優しく笑いながら手を振っている。
(ちらしより)

ヒカリノオトお得意のワンシチュエーションで別次元を行き来する。
今回は30年の時空を飛ぶ。
いつも思うけど、まだ若い松岡さんがこういう作品を作るのはなぜだろう。
お芝居を観ただけでは彼の真意はわからないけれど、
やはり実体験に基づいたものではないかと思う。
今回はグループホームへの取材も行って、お芝居以外でも現状を伝えようと
されていた。

人も時代も移り変わってきていて、数十年前とは情況が相当変わってきている。
介護や施設の問題、長生きに伴う健康体への高い意識。
これもあと10年もしたら形が変わっていくのかもしれない。

と、あれやこれや考えながら素敵なキャストたちの芝居に見入った。
現代と30年前は照明で少し変化を付けている感じ。
出演者がだぶって出てくるとやっぱりぎょっとする。

杉山さんと立道さんがキミコを演じる。
若いときは理解できなかったことが分かるようになった、
そういう時間の経緯がすごくよくみてとれた。
逆に峰尾さんのお母さん役はしっかりしていたころから
認知症が進んできたころへの変貌が辛いほどわかる。

ヒカリノオト安定の荘太さん、立石さん、白川さんに加えて、
上田さん、さなえさん、倫子ちゃん、それぞれがとても濃いキャラクターを
演じていて、飽きることがなかった。

全体がすごくまとまっていて、照明なども相まって安心して見られる舞台。
松岡さんの進化はまだまだ続きそうな気がする。

キャスト
今のキミコ   杉山英美
30年前のキミコ 立道心
キミコの母   峰尾かおり
アサコさん   上田裕
リョウタ    中島荘太
オバチャン   立石義江
マイさん    清水さなえ(劇団HAっHAー!!)
ミチコさん   小湊倫子
ショウちゃん  白川宏治(ユニットれんげ)

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