「ドライブ・マイ・カー」 映画

2022年2月26日(火)イオンシネマ福岡 

14時45分~  1100円

原作    村上春樹
監督・脚本 濱口竜介

脚本家の妻を突然亡くした舞台俳優の家福。
二年後、喪失感の拭いきれない彼は、演出を任された演劇祭に愛車で向かった先で、
専属ドライバーのみさきに出会った。
口数の少ない彼女が運転する愛車で過ごす時間の中で、
家福は妻の残した秘密に向き合っていく。
(映画紹介サイトより)

原作を読んではいないけれど、アカデミー賞候補と聞いて、ちょっと興味をもった。
西島さんも最近、気になっている役者さんだし、地味そうだけど見てみようかと。
まさか3時間もあるとは知らなかったけれど、そんなに長く感じなかった。
しかも、設定が演劇と知って、広島の場面あたりから期待が膨らむ。
チェーホフで思い出すのは『地点』、『アントンクルー』
そして「ワーニャ伯父さん」は『ばぁくう』なつかしい。。

舞台に登る前の部分はよく知らないのだけど、感情をこめない本読みってのが
すごく気になった。一般的にそういうものなの?
国際演劇祭でのオーディション、いろんな国の人がそれぞれの言語で話す。
驚いたのは手話で演じるイ・ユナ。実際にこういうことが可能なのだろうか?
ひとつの言語と理解すれば驚く話でもないか。
配役の告知。年齢は関係ない。演劇でもよくみられる現象だ。

悠介と音の夫婦関係はいろんなセリフや家の中を見ると想像がつく。
深く愛し合っているのは理解できたが、妻の浮気を黙認する様子は
理解できなかった。芸術家だからそう、というわけでもないだろう。
音の裸の腰はすごくくびれていて印象的だった。

最も理解できなかったのは高槻。若い男性というだけで隔たりを感じるし、
なぜ、ああいうラストになってしまったのかもわからない。
悠介が役者に戻ったきっかけになったのは間違いないのだけど・・・・

そしてドライバーのみさき。感情のない顔で演じる彼女は母親の影を
引きずっている。親との関係が非常に子供に影響するのは、よくわかる。
よく頑張って生きたね、と声をかけたくなる。心に突き刺さる演技だった。

ラストの「ワーニャ伯父さん」の舞台シーン、
ソーニャのセリフ(手話だけど)がこの作品の、悠介の、全てに重なっていた。
生きていきましょう、働きましょう。
私自身にも響くことばだった。

全く笑う部分はなかったけれど、ちょっとペーソスを感じたのは、
スマホは現代のものなのに、なぜかカセットテープ。
みさきのふるさとへドライブするシーン。遠すぎてありえない。
たばこを吸って、手をルーフの外へあげて煙を外へ出すシーン。
ユンスが自宅へ悠介を招いて、妻を紹介するシーン。
他にもいろいろあった気がする。

とても面白かった、映画だけど演劇だった。


キャスト
家福悠介  西島秀俊
渡利みさき 三浦透子
家福音   霧島れいか
イ・ユナ  パク・ユリム
コン・ユンス  ジン・デヨン
ジャニス・チャン  ソニア・ユアン
ペリー・ディゾン
アン・フィテ
柚原    安部聡子
高槻耕史  岡田将生

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