「はたらくおとこ」 キャナルシティ劇場

teru10162016-11-23


18時〜 7800円 阿佐ヶ谷スパイダース

作・演出 長塚圭史

今年は阿佐ヶ谷スパイダース結成20周年の年、2004年初演の本作品が再演された。

暗い事務所の中でリンゴ栽培が失敗し、仕事もないのに1日を過ごすおとこたち。
それぞれに事情がある様がうかがいしれる。
農協と対立する男の家族が農薬を持って事務所にやってきたことから始まるばかげた再起案が暴走。
そこへ盗んだトラックごと事務所に突っ込んできた社員。
その積荷はとんでもないものだった。。。。。

きたきたきた〜〜〜〜
阿佐ヶ谷スパイダースらしいドロドロとしていて心をえぐるような作品。
だったら観なきゃいいじゃないと言われても観たいのは人間のサガでしょうか。

最初あたりは暴走するおとこたちが可愛い感じで描かれていて、時々笑える場面もあって楽しく観れていた。
農薬を飲んでしまうあたりからだんだん悲惨な感じがひどくなってきて、なんで死なないのだ?
と逆にありえない、ありえない、とつぶやいてみたり。。
簡単に人が人を殺したりし始めるともう止まらない。
でも、まだ農薬なんか可愛かった。ラストのあの産廃を食べるシーン・・・・
胃液が戻ってきて思わず吐きそうになってしまった。幻の渋いりんごと相まってもう何がなんだか・・・・

だから夢だったの?という最後の最後はちょっと納得できなかったかも。
こんな怖い未来があるかもしれないよ〜という警告?予言?こ、こわい、怖すぎる。。。
実際津波で破壊された原発産廃の行方を想像させられてぞっとしたのは観客全員だろう。

夏目役の池田成志さん、ふか〜〜い苦悩の演技を堪能した。
茅ヶ崎社長の中村まことさんとの掛け合いが絶妙。
前田兄弟や佐藤兄弟妹、かたちは変でも家族愛なんだなと納得。
前田兄の中山祐一朗さん、佐藤弟の池田鉄洋さん、かっこいい。
みんな上手過ぎるわ〜〜

そんなときにトラックの本当の運転手役の長塚さん登場。
いやいや、全然場になじんでない感じがちょっとほっとする。
かならずチョイ役で出るんだよね。そういうところサービス精神なのか。
でも、どんどん凛々しくなっているなと思った。

きっつい芝居だったけどものすごく面白いと思った。これが演劇の力なんだな。

キャスト
茅ヶ崎   中村まこと
夏目    池田成志
前田兄   中山祐一朗
前田弟   伊達暁
佐藤蜜雄  松村武
佐藤豊蜜  池田鉄洋
佐藤涼   北浦愛
河口万寿夫 富岡晃一郎
真田三平  長塚圭史