「六月博多座大歌舞伎」 博多座

teru10162013-06-05

11時〜 5000円 松竹

六月博多座は昼にスーパー歌舞伎、夜に古典と色鮮やかなラインナップだ。
どうしようかと迷ったがC席で両方、観ることにした。まずは昼公演。

スーパー歌舞伎ヤマトタケル」全三幕

第一幕
大和の国の皇子、小碓命(おうすのみこと)は父の帝と後妻の皇后の反逆を疑う兄の大碓命(おおうすのみこと)
と言い争ううちに兄を殺してしまう。帝は死罪の代わりに熊襲征伐を命じる。
兄の妻であった兄橘姫(えたちばなひめ)は真実を聞き小碓命を慕うようになる。
熊襲のタケル兄弟を征伐した小碓命はその名前を引き継ぎ、ヤマトタケルと名乗る。

第二幕
すぐに東の蝦夷を退治するよう命じられたヤマトタケルは失意の元、
叔母の倭姫と弟橘姫(おとたちばなひめ)の住む伊勢へ向かう。
叔母にもらった天の村雲の剣(のち草薙の剣)を持ち、吉備の国のタケヒコと弟橘姫の三人で蝦夷へ向かう。
ヤイレポ、ヤイラム兄弟の火攻めにも負けなかったが、道中の走水の船中、激しい嵐に襲われるのは海の神が
弟橘姫を欲しているからだという占い師に従い、自ら入水する弟橘姫。 号泣するヤマトタケル。。

第三幕
東の国を平定し、大和へ帰るタケルたちにまたもや伊吹山の山神を征伐との命を出される。
草薙の剣を尾張のみやず姫に預けて伊吹山へ向かうタケルたち。
姥神とその化身、白い猪と戦ったタケルは打撃を受けて、大和へ帰り着く途中で命つきた。
盛大な葬儀後、兄橘姫とタケルの忘れ形見、ワカタケルが墓前にいる。
最後まで父と通じ合えなかったタケルを偲ぶ最中にワカタケルを日継の皇子にとの連絡が。
タケルの墓から白鳥が飛びたつ、”天翔ける心”の魂が。。。

ヤマトタケルを演じた四代目市川猿之助丈(亀治郎改め)と父帝を演じた九代目市川中車丈(香川照之改め)
の口上から始まったこの舞台。 壮大、荘厳の大スペクタクルであった。
見どころは数々あるけれど、回り舞台を使った派手な道具たちや雅やかな衣装の数々。
そして迫力満点の殺陣や中国京劇俳優陣の驚くほどの身体パフォーマンス。
一幕での猿之助丈による兄弟一人二役の早変わり。
おそらく3〜4歳ではないかと思われるワカタケルの長セリフ。
ラストの見せ場、猿之助丈の宙乗り。 羽根飾りも相当豪華で三階席の真横まで近づいてきた。
ご贔屓の女形春猿丈の弟姫、笑也丈の兄姫、そしておちゃめな笑三郎丈の倭姫もこの長い舞台を飽きさせない彩りを添えていた。
彌十郎丈らの悪役も健在だ。
今も昔も変わらない、親子親類の情というのか怨念というのか、避けられない血縁同士のどうしようもない心の葛藤をヤマトタケル
通して表現してもらった。 心から感動した。 余韻の残る作品だった。
昔なつかしい神話を膨らませて歌舞伎に組み込んだとてもわかりやすい作品で、今回はイヤホンガイドはいらなかったかもしれないね(笑)

一週間後には夜の部を観る予定だが、猿翁丈の体調は大丈夫だろうか。