「三月花形歌舞伎 『鯉つかみ』」 博多座

2019年3月20日(水) 

11時~  14500円 松竹

以前博多座で観た「鯉つかみ」は大歌舞伎の中の演目の1つだった。
そのときは今回の大詰の場面だけだったな。
それでも、小桜姫の可憐さた鯉との格闘のすさまじさ、
宙乗りの華やかさは覚えている。
配役は愛之助丈の志賀之助と壱太郎丈の小桜姫だったな。

今回は三幕八場の通し狂言、序幕、二幕目までに
なんと愛之助丈の十役、早替りを堪能した。
いや~お見事! 面白かった~~
二人で絡む部分で早替りすることが多いかな。
からくりはわかりやすくて、バレバレなんだけど
それでも、ぱっと新しい役のお顔をこちらに向けると
わ~~!!っと観客席が盛り上がる。
影の役者さんは本当に大変だなあ(汗

それにしてもいろんな役を一人でこなす愛之助丈がすごい。
一番良かったのはもちろん、正義のヒーロー「滝窓志賀之助
だったけど、TVなどでもひょうきんな役をこなされているので、
ばか殿「信田清晴」や身軽な「奴瀬田平」なども良かった。
高貴な役どころの「金鯉」「中納言橘広継」もかっこ良かった。
唯一の女形の「奥方漣」はきれいとは言い難いけど、凄みがあった。
愛之助丈は姫役は・・・難しいだろうな。

大好きな松也丈は三役で登場、序幕の「俵藤太秀郷」の百足退治の
場面はすごく迫力があって素敵だった。
あとの「絵師 又平」と「家老 篠村次郎」も優しくてうっとり。
このためにA席を奮発したのだ。

そして壱太郎丈の妖艶さにくらくら。「瀬織津媛」「小桜姫
衣装と所作、セリフ。そしてそのお顔立の美しさ!
本当に女性以上に女性でした。

他に印象に残った役は上村吉弥丈の呉竹」。昔話の奥方はみんな夫をたてて
心根が強く優しい。見習わねばとは思うのだが。。。。ムリ

善悪は一目瞭然で、歌舞伎はわかりやすいことが大事だと思う。
どんな悪人にも人情はありそうな感じはするのだけど、
最後は正義が必ず勝つ。わかっていても気持ちがいい。

今回はなぜ鯉が祟るのかという場面からの狂言だったので、
全体的に合点がいって面白かった。
竜になれなかった鯉も可哀想だけど、わざとじゃないんだしね。
何百年も祟るなんて恐ろしいわ。結局志賀之助に退治されるわけだし。
鯉、合掌。。。

とても面白かった、いいお席で観た甲斐があった。
イヤホンガイドでの説明や役者さんの話しは良かった。
700円で借りられるのはお得だよね。

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