「二月花形歌舞伎」 博多座

teru10162012-02-22

16時〜 13000円 
市川猿之助四十八撰」から、夜の部は演目は2つ。 右近丈と亀治郎丈主演。 実に若い歌舞伎だ。 二列目センター、最高のポジションだった。 開演前の口上(挨拶)に市川亀治郎丈登場。 TVなどにもけっこう出演されていて歌舞伎PRに力が入っている。 ”古めかしい、高い、わからない”で敷居が高い歌舞伎なれど、劇場で生の役者をぜひ見て、役者と一緒に舞台を作り上げて欲しいとのこと。 演劇ってほんとにそうなんだよね。 そこで掛け声をぜひ今回はみんなでかけて欲しいとかける場所を設定。 かけられるのは欣哉丈。 前方でしかも女性でも誰でもいいんですよ、と常識を覆す発言(笑) 一回練習をしたので、本番ではちゃんとみんなで声をかけられた。 「欣哉さ〜〜〜ん!!」 初で最後の大向うとなった。

☆華果西遊記
誰でも知ってる三蔵法師(笑也丈)が孫悟空(右近丈)、猪八戒(猿弥丈)、沙悟浄(弘太郎丈)らと天竺へありがた〜いお経をもらいにいく話。 というかこのくらいの認識しかなかったのだけど、だいたい合ってたような感じ。 右近丈の表情や所作がかわいらしくておちゃめで、はまり役だな〜と感心。 宙乗りも圧巻だった。 笑也丈は相変わらず美しい。 亡夏目雅子さんの三蔵法師を思い出してちょっとしんみり。 猿弥丈と弘太郎丈もユニークな顔立ちが役にあってて(ごめんなさい)とてもおもしろい作品になっていた。 敵役の蜘蛛姉妹に春猿丈と笑三郎丈、これまた美人姉妹でほれぼれ。 蜘蛛の精になってからの蜘蛛の糸を自在にあやつる所作はメイクのおどろおどろしさと相まってとても見ごたえがあった。

☆鬼揃紅葉狩☆
平維茂(門之助丈)が従者たちと紅葉を興じていたところ、更科の前(亀治郎丈)という姫とその侍女たち一行が酒宴に誘ってくる。 怪しみながらも断りきれずに酒宴に加わり、杯を重ねる毎に泥酔した維茂たちの前に姿を現したのは神女八百姫(笑也丈)「あいつらは鬼なのよ、退治しなさい。」と言われて我に戻った維茂たちの前に現れたのは恐ろしい鬼女たち!!  実にわかりやすい話の設定で歌舞伎初心者にもなじみやすい話だ。 姫が鬼女に変わる。 西遊記での蜘蛛女と同じく、その変わり方が派手でおもしろい。 しとやかな侍女たちや、更科の前の踊りは優雅で美しく流れるよう。 そして一転、クマドリのおそろしさの実感は前方の席ならでは。 衣装も所作も一変する。 赤毛を振りまわして戦う様は目がまわりそうで歌舞伎の一番のみどころかなと思った。 バックの浄瑠璃陣もとても豪華でフルオーケストラといったところか。 詳しいことはよくわからないのだけど、解説の「能の高雅さと歌舞伎舞踏の華麗さを融合した舞台」  この説明が一番腑におちた。

今、市川猿之助丈の本を読んでいてその舞台の新しさをどう作ってきたか歴史を実感しているところだ。 歌舞伎はおもしろい。 昼の部を観にいけなくて実に残念。 値段の高さにはいつも驚くが、ミュージカルと同じで、それだけの価値があると今更ながら実感した。