数年前に映像で「NINAGAWA・マクベス」を観た。
たぶんそのときは平幹二郎、栗原小巻の初演だったと思う。
その日は終日蜷川さんの舞台の映像を見たのだけど、マクベスより
「タンゴ、冬の終わりに」の方が記憶に残ってるんだな〜〜なぜか..
舞台は大きな仏壇をかたどっている。
客席からおもむろに二人の腰の曲がったみすぼらしい老婆が通路を通って舞台のほうへ。
ちょうど私の後方を通っていったので、観客?とも思ったけどさすがにこんな観客はいないね。
上手、下手に座った老婆は開幕前、幕間にもいろんなパフォーマンス(食べたり悲しんだり)している。
そして、仏壇の扉をあけてそれからは目を離していたけれどたぶんずっと何かしていた。面白い
主君を殺し、王位につくマクベスだが、過激な妻や怪しむ家臣たちに怯える。
キーポイントは三人の魔女。最初の予言が当り、不安を拡大させる。
舞台はスコットランドなのだが、衣装が日本の安土桃山時代。
妙なマッチングだけど、ストーリー構成は当時の状況とぴったりあう。
初演は批評家に酷評されたというこの作品。
きっと時代が追いついていなかったのね。
マクベス夫人の狂気にはぎょっとしたけれど、錯乱するほど悩むならこんなことしなければよかったのに。。
女の業の深さは極限まで行くものなのだろうか。
カーテンコールでは舞台上に蜷川さんの遺影が掲げられていた。
そこへ何度も市村さんが投げキッスを送る。
確かに蜷川さんがここのいたんだなと胸が熱くなり涙が出る。