「微熱ガーデン」 ゆめアール大橋大練習室

2019年2月9日(土) 

13時~  共通チケット 下鴨車窓 

脚本・演出 田辺剛

彼女は嘘をついた

とある地方の寂れた町。
結のアパートは町の真ん中からさらに離れたところにある。
鉢植えばかりになった小さな和室にももう慣れた。
慣れたというより違和感に悩む余裕がなかった。
種まきから収穫まで淡々と、けれども抜かりなく育てる日々。
大学の授業も抜かりなくこなす日々。
そうしてすべてにおいて抜かりなくやっていたはずなのに、
いつの間にか取り返しがつかないことになっていると気づいたある日。
空は曇天の冬、乾いた田んぼ、つい口ずさんでしまったジングルベル。(ちらしより)

何度も来てくれている下鴨車窓、安定の作品をみせてもらっている。
田辺さんの作品は今回も絶品だった。
よくこんな話しを思いつくものだ。あきらかに違法植物を育てていて、違法な金を受け取っている貧乏学生の話し。であって、
ふくらませようがないのだけど、実際には二人の女子大生、それぞれの家族のことや、彼氏とのこと、アパートの老人の死などなど、彼の孫の話から。
そこにいない人間や環境を想像しながら物語をふくらませていく。

舞台はまるでビニールハウスを思わせるような一室。
壁がビニールで覆われ、床はブルーシート、3台の長机の上にはバケツに入った緑の植物。いかにも怪しい部屋で結は途方にくれていった。

この結役の子がとても魅力的で、感じがいい。
きっと実際に階下の老人に対しても思いやりがあったのだろうと推察できる。
返って、友人の理奈は現代っ子らしく、効率のいい水商売のバイトをしている。
大丈夫かな~とはらはらする。変な彼氏がいるようだ。

ラストシーンはこの植物を育て始めた最初の夏の話し。
半袖ワンピースやTシャツ、まぶしい太陽に象徴される、希望に満ちた情景で終わる。

アフターイベントで主宰の田辺さんがそめごころの石田聖也さんとトークをされた。
熱い思いを雄弁に語る田辺さんは以前と変わりなかった。すごいな、ぶれてないな。
いいお芝居を観れて良かった。

キャスト

有田結  中村彩乃
須藤理奈 野村明里
野間由人 吉田知生

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