「子午線の祀り」 福岡市立南市民センター

2019年4月21日(日)

11時~ 演劇の映像を観る会 特別例会

11:00-13:00  2017年上演版の前編(第1幕・第2幕) 
13:15-15:00  2017年上演版の後編(第3幕・第4幕) 
15:30-17:35  1992年上演版の前編(第1幕・第2幕) 
17:50-19:40  1992年上演版の後編(第3幕・第4幕)
 
子午線の祀り」(しごせんのまつり)は、「平家物語」を題材とする、
木下順二作の4幕構成の戯曲で、「夕鶴」と並ぶ木下の代表作。
1978年に発表され、翌1979年に宇野重吉の総合演出で初演。
読売文学賞、朝日賞を受賞。
2017年に野村萬斎による新演出で上演され、読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞。

独誦から俳優全員による合誦までを自在に組み合わせた
「群読」という独特の朗読形式を導入した。
平知盛を主人公に源義経を対照させ、一ノ谷の戦いで源氏に敗れた平家が
壇ノ浦の戦いで壊滅するまでの壮麗な物語である。 (レジュメより)

用事があって、昼過ぎ、2017年上演の後半から鑑賞した。
怒涛の合戦に至るまでの緊張する場面だったけれど、
萬斎さんの凛とした姿にはホレボレした。影身役の若村さんも素敵だった。
義経役の成河さんはジャニーズ系ばりのイケメンでファンが多い。
重厚な役者陣には負けていたかもしれないけれど、
頑張って義経像を作り上げていたと思う。
他にもいろんなジャンルから素晴らしい役者陣が集まっていて、
これだけ重くてこれだけ長い演目を現代人に訴えるように演出していたと思う。

さて、オススメの1992年版、前回の演劇書を読む会で知盛役の嵐圭史さんの
本を読んで楽しみにしていたが、圧倒的な知盛で素人でもわかるはまり具合だった。
義経役は野村万作さん。彼もまたとびぬけて素晴らしかった。
萬斎さんの知盛とも全く違っていた。
こういうものを観ていると2017年版が軽く見えてしまうのかな~
影身役の山本安英さんは当時で既に80歳を越していたらしい。
かすかな声量でもその音は魂に響く。
冒頭の宇野重吉さんの語りにも聞き入った。
淡々と語っているようなのに迫力があって驚く。このとき既に亡くなられている。

これが第5次上演、全曲ノーカットの4時間超の演劇だ。
これから先にこういう原作に忠実な演劇は残っていくだろうか。
それは演じる方も観る方もしっかとした信念と決意が必要な気がする。

長時間鑑賞だったけれど、あっという間に感じた。
特に1992年版の方はそういう演出なのか、舞台がかなり暗い。
人物がぼーっと浮かび上がるくらいの照明で、観るというよりしっかり聞いた。
冒頭とラストの子午線に関する詞はとても心に残る。
宇宙の広大さと神秘への尊敬の念が感じられる。
書き写して読んでみた。なんだか平家物語が近くに感じられる。
宇宙の営みは未だに変わらないからだろうか。
そしてこれからも続いていくのだろうか。

地球の中心から延びる一本の直線が、地表の一点に立って空を見上げるあなたの
足の裏から頭へ突き抜けてどこまでもどこまでも延びて行き、
無限のかなたで天球をつらぬく一点、天の頂き、天頂。(以下略)

とても良かった、すぐに「知盛の声が聞こえる」を読み直している。
圭史さんのいうことがよくわかる。見せて頂いて良かった。

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