「組曲虐殺」 博多座

2019年11月1日(金) 

12時~  5000円 こまつ座/ホリプロ 

作 井上ひさし
演出 栗山民也

プロレタリア作家の小林多喜二
姉の佐藤チマや恋人の田口瀧子に心配をかけながらも、
同志の伊藤ふじ子と地下活動を続けていく。
ことばで社会を変えようと必死だ。
多喜二の人柄には共感するものの職務に忠実な
古橋鉄雄刑事と山本正刑事に追い詰められ、ついに。。。。

当時の自由表現への弾圧はいくらか聞いていたけれど、
これだけ酷い状態だとは知らなかった。
殺し合い以上に怖いことがある。
拷問、想像しただけで血の気が引く。

史実が原作ではあると思うけれど、遅筆の井上ひさしさんは
何度も何度も作り替えたらしい。
いかに当時の悲惨な状態を伝えられるか。

意思を高く掲げ、決して曲げない姿勢は日本人の誇り。
その同じ日本人を貶めるとは悲しい歴史だ。
自由民主主義の元に自由競争、自由意見が堂々と言える現在でも、
不平等、不均衡なことがまだまだ多い。気分はちょっと暗いな。

でも!この作品は楽しいところも数々あった。
音楽劇になっていて、時々ト書きやセリフを歌で表現する。
歌わない芳雄くんかなと思っていたのでうれしかった。
多喜二や瀧子の若さがかわいそうなくらい輝かない時代だったけれど、
その思想や思いはいつの世の若者のように華やいでいたのかもしれない。
ちょっとしたギャグもあちこちにちりばめられていて、
井上さんの世界感を壊すことなく演出されていたのではないかな。

高畑さんは本当に素晴らしい女優さんだな。
テレビでも舞台でも輝く女優さんって最近多いと思う。
神野さんは今回ピアノ演奏をされた小曽根真さんの奥さんだ。
ジャンルが違っても同じ舞台に立てるなんてすごくいい感じだな。

上白石萌音さんは萌歌さんと姉妹。
お二人ともいろんなところで活躍されている素敵な姉妹だ。
飾り気のないところが大好きだ。丸い顔の人って好きなんだな~

そしてミュージカルでない芳雄くんはたぶん初めてみた。
年齢を重ねてずいぶん素敵な男優さんになったな~と思う。
まだ、歌ってほしいけどね。

もう少し小さい劇場でもう少し近くで見てみたかった。
西鉄ホールくらいがいいんじゃないかな~


キャスト
小林多喜二   井上芳雄
田口瀧子    上白石萌音
伊藤ふじ子   神野三鈴
山本正     土屋佑壱
古橋鉄雄    山本龍二
佐藤チマ    高畑淳子

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