「その鉄塔に男たちはいるという+」 北九州芸術劇場小劇場

2020年3月6日(土)

19時~ 3500円  MONO

作・演出 土田英生

外国の戦地に慰問に来ていたグループが突然消えた。
噂によればその鉄塔に男たちはいるという。

1998年に初演。戦争という過酷な状況の中、
鉄塔の上で交わされる下らないやり取りを描き好評を博した。
それ以来、数々の団体によって上演され続けている劇団代表作を
オリジナルメンバーで上演。
同じ場所で展開する時間軸の違う短編をプラスし新たな地平で
物語は完結する――
(こりっちより)

公演中止が重なる中、土田さんが上演を決行してくださった。
もちろん、コロナウィルス感染防止に十分に配慮をしたうえで。
小劇場という少ないキャパの劇場だったのも幸いしたのだろう。

内容は知らずに観劇したのだけど、最初の短編は現代の設定で、
戦争の残骸と思われる外国の鉄塔の上で
日本からの観光客と現地の知り合いとの微妙なやり取りを演じたものだった。
夫婦と夫の妹、その妹の知り合いの現地在住日本人。
最初は関係性がわからなかったけれど、会話でどんどんわかってくる。
演劇ってこういうところがすごいなと思う。
説明書きも何もないのに、想像力がすごく働く。

家族とか友達とか本当にわかりあえることってあるのだろうか。
自分の心すらわからないこともあるのに、と最近よく思う。

短編は非常におもしろく見れた。
それぞれの心情に同感する部分も多くあった。
ただこれが本編とどうつながっていくのか。全く想像ができずにどきどき。

いつものMONOのメンバー4人。
戦争中の慰問にきていた芸人?そこから鉄塔へ逃げてきた模様。
小出しにしていた芸はパントマイム。
パントマイムといえば「水と油」懐かしい~
今はやってないようだけど。

あまり緊張感のない4人のメンバーともう一人逃げてきた兵隊が加わって
5人でまた舞台をやろうということになって・・・・・

楽しい展開だったし、なんとなく平和に終わるのではないかと思っていたので、
ラストシーンはショックだった。最初の短編では人形劇の小さい舞台が残っていて、
そこに弾痕がたくさんついているのを見ていたので、
直接話がつながるものではないのだろうけれど、やっぱり戦争は戦争だ。

でも、MONOの舞台らしいなあと、人気がある作品なんだなあと実感した。

観れてよかった。


キャスト

吉村充   渡辺啓
吉村志織  石丸奈菜美
吉村円香  立川茜
藤原柚月  高橋明日香


吉村陽乃介 奥村泰彦
木暮要   尾方宣久
笹倉万次郎 水沼健
上岡雄吉  土田英生
城之内誠治 金替康博

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