「シャザイカイケン」 湾岸劇場博多扇貝

2020年9月12日(土)

15時~ 2000円  最新旧型機クロックアップ・サイリックス

作・演出 川原武浩

「このたびは、誠に申し訳ございませんでした!」
 居並ぶ報道陣
 多勢に無勢
 考える間もなく次々に浴びせられる質問という名の糾弾
『今回の件についてどのようにお考えか、お聞かせください』
『きちんと説明責任を果たすべきではないでしょうか』
『どのように責任をとるおつもりですか』
『まだ他に隠していることがあるんじゃありませんか』
 何を言われても
 何を聞かれても
 ただ謝り、ただただ頭を下げ続ける
 こう口にしたい気持ちをひたすらに抑えて
「…あの、なんで私が謝らなきゃいけないんでしょうか」
(公式サイトより)

最近でいうと、コロナに感染した施設等(学校とか)の謝罪会見。
ちょっと前では不倫した芸能人や事務所の面々。
パワハラで訴えられた会社、学校のお偉いさんたち。
「なんで、私が?」と思うよりテレビの前の私たちが
「なんで、あなたたちが謝る?」というものも多い謝罪会見。
ひとごとで見てるだけならふ~んと思うだけなのだけど、
当事者になったらどんなに悲痛なことか。
神経をやられるのは必至である。
コロナ前から、ネットでのやり取りも危なっかしくて不毛だ。
みんな気がついてきていると思うのに、やっぱりエスカレートしてしまう。
なんでだろうな~川原さんのごあいさつ文に激しく共感している。
ずいぶ早くからSNSをやって、それなりに楽しんできたけれど、
すっかり恐れをなして使い方すらわからなくなった私である。

最近では友達とのグループラインですらちょっとした言葉使いで
亀裂が入ってしまう。こわ。。。。

閑話休題
クロサイの作品はいつも時世にのっとっていて面白い。
川原さんの時代をつかむセンスというか才能だ。
5月上演が延期になって9月実施。
この作品、当初より大幅に加筆修正された
「SD(ソーシャルディスタンス)バージョン」らしい。
なるほど、謝罪会見するほうもされるほうも、消毒液を持った
消毒屋さん(?)の男女にやたらとシュッシュ、シュッシュされて、
気分的に咳き込みそうだ。これ中身は水だよね??

会見を開いた会社の3人がひたすら謝るだけで、
いったい何に対して謝っているのか誰もわかってないところまでが
長かったな。そこから思いつくものをあれこれ並べるのは、
テンポが良くなってきて、非現実的で笑える。
5人未満ならOKというから5人で飲みにいった。はあるある話。
個人的には商品の不具合、といっても0.1㎜の誤差?をつつくのが
すごくおかしかった。笑いをこらえるのが大変。
最後は副社長なのに逃げた社長の代わりに謝る男。
殴られボールペンを投げつけられ悲惨だ。
最後はボールペンに加えてなんとスマホ(携帯も?)が降ってきた。
いつもながら迫力あるな~!

演劇も徐々にもどりつつある。
演るほうも観るほうも気をつけて止めないようにしたいね。

キャスト
上瀧昭吾、長沼里佳、大谷豪、立石義江、大石華愛(西南学院大学演劇部)
池田景、石村英美子(henhouse)、白川宏治(ユニットれんげ)、松本征也
エストラゴン後藤(声の出演)長岡暢陵

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