「黒いダイヤ」 箱崎宮御潮井浜

teru10162007-11-24

19時〜 3500円 劇衆 上海素麺工場
テント芝居の上海素麺工場。こないだのオフ会で南新地さんから勧められて、今回初見。どうも2〜3年おきにしか公演していないようだ。旗揚げ三十周年記念興業ということでとにかく見てみなくては・・・ここを知っている人は必ず勧めてくれるし。よく言われるアングラかというとそうでもなく、メイクはアングラ風だが、内容はテント芝居での特性をラストシーンでよく表した人間臭いものであった。黒いダイヤとは石炭のことだ。実父が長崎の池島炭鉱三井松島産業経営)で勤めていたので炭鉱に関わるいろいろな盛衰の歴史は自分の中にもまだ残っている。炭鉱では軽い落盤事故は日常茶飯事だった。父も若いころは三交代で採炭も行っていたが、事故がおきると一晩中帰ってこないで、私たちは一睡もせずに父の帰りを待った。舞台上の三井三池炭鉱、三川坑の炭じん爆発事故が死者を大勢出したときは直接関係はないが、炭鉱事故の影響をかなり心配した様子であった。子ども心になんでこんなに危険な仕事をしているのか理解できないことも多々あった。この芝居の中では三井三池労使交渉等の不当さをかなり糾弾しているようなので支那海東さんの実体験から訴えるものかと思ったが、よく考えれば彼は私とほぼ同じ歳だ。当時は子どものはず。詩集のようなパンフレットをめくると支那海さんの文が、「自分の体に貼り付けられた団塊のステッカーをひっぱがし、毛穴から石炭の嗅いの立ち上る忌まわしい記憶を引きずり出し、この時代の白昼の中に放り投げようと思っている。」これがこの芝居の主題なのだろう。役者も福岡のどこに潜んでいたのだろうかというくらい達者な方ばかりでびっくりである。まあ最初はえげつないコントの劇団か?と見間違えたくらいだったけどw 吉田ミサイルと、看板女優の市川蜂子(すごく可愛い☆)父親を炭じん事故で亡くし、覚せい剤中毒者の男と女すり。2人が出てきてからは物語的にも没頭することができた。この女優さんのセリフ回しが誰かに似ていると思ったら、売春捜査官の黒谷友香のしゃべり方にそっくりだ。この言い方すごく好きだな〜しかし、これだけスケールがでかい芝居だとセリフを多少間違えたり、ピストルの音と傷が破裂するのが多少ずれてもそんなもん小さい、小さいって感じになるのはなぜだろう〜(; ̄ー ̄A  正直ど下手な役者もいた。が、支那海さんが全てを包み込んでいた。あと舞姫の上杉満代さんの赤いドレスと動きも印象的だった。終演後の挨拶でまずスタッフを紹介する支那海さんの心配り、そして役者一人一人を丁寧に紹介していく。客席から掛け声がとぶくらいで、みんなこの公演を待っていたんだな〜と納得した。寒いからと完全武装で観劇に臨んだが、とても温かく幸せな気持ちで箱崎宮をあとにした。帰ってからネットでいろいろ検索しているとあらまあ、RKBのニュースで紹介されたものが・・おもしろーい(^^;;
http://news.rkb.ne.jp/rkb_news/archives/007998.html