「砂の楽園」 甘棠館Show劇場

teru10162009-12-05

19時〜 早割りペア券 1300円  劇団爆走蝸牛
FFAC企画「創作コンペティション」で最優秀作品賞、観客賞受賞した爆走蝸牛が、今回は宮沢章夫の作品に挑む。 彼の作品は初めてだが、評判はいろいろ聞くので楽しみにして見た。 会場は向かい合わせの客席が3〜4列づつ。 中央に砂を敷いた舞台。 机と椅子、電話機。 客席との間に透明のビニールスクリーンの帯が等間隔で3〜4枚?し切っている。 それだけで、舞台としての世界ができあがっている。 砂漠を監視する仕事の男性7人が朝顔を育てたり、ゲームをしたり、酒を飲んだりして仕事の単調さをカバーしてるのかと思う。 来たばかりの男は電話してばかりだし、ほぼ全員が女の幻影を見ている。 別にストーリーがあるでなく、一人ひとりがそれぞれの現実を思いながら幻想を抱く。 こんな閉鎖空間では精神に異常をきたしてもおかしくない。 其のあたりの異常性をうまく表現していたのはハセガワ(手島曜)彼はこういう役が実に上手い。 前回の「加納の鼻」での主役に続き大変気にいった。 彼以外の役者も上手だったし、それぞれ役にあっていたと思う、不条理劇ってこういうのを指すのだろうか? ただ2時間近い上演は長すぎて冗長になり、眠気がさしてしまったのは不覚。 私だけでなく難解さを指摘した人は多い。 「わかりやすいだけが演劇ではない」ことは最近よくわかってきたけど、それでもわからない部分は多かった。 7人中ほとんど意識外の役があったのも不思議だ。 パンフのキャスト表を見て、「あれ?この人どういう人だったっけ?」と思ったのが2役ほど・・・ しかし、考えてみれば賞をとるということはそれだけプレッシャーがかかるということ。 その中で果敢に宮沢作品に挑戦したことを評価したい。 観客に安易に迎合せず自分の信じる道を模索していってもかまわないのでは。 「批評家のペン先」に迷うことなく。