「CASE3〜よく学ぶ遺伝子〜」 ぽんプラザホール

teru10162010-01-09

19時〜 1500円  劇団HIT!STAGE
「白波の食卓」で九州戯曲賞大賞を受賞した劇団HIT!STAGEの森馨由の新作。 既に地元公演を終えて、ぽんプラザでのお目見え。「白波の食卓」「春の鯨」に続いて3回目の来福。 うーん、すごい脚本だな〜  いつもながら深層心理の深くを探るような作品、もちろん舞台道具も凝っていて今回は鴨川家の一部屋だけのシチュエーションなんだけど、ふすまというか障子っぽい間仕切りに海の絵が描いてある。 なんだか雰囲気が昔の遊郭だなと思っていたら、なんと本当にそういう仕事を世話しているミナが住んでいた。 今回も家族物で、親戚関係(それも複雑な)にある4人の話。 ただし、場所は佐世保ではなかった。 ハマコ(森カヲル)はDV夫から逃げていとこの鴨川家のミナ(森タカコ)と暮らすようになったが、リョウ(真島クミ)を幽霊だというミナの言葉を信じて、最初は怖がっていたが、絵だけ描いているリョウを無視して鴨川家を内緒で物色していた。 入院中の祖母のカズコはリョウを可愛がって、リョウもまた慕っていたようだ。 そのうちカズコの日記をみつけたハマコはカズコが語る昔の真実に驚く。 幽霊ではないとばれたリョウはそれでもカズコをかばい、日記を返すように促す。 ミナやチナツも日記を読んで動揺する。 そのうちにカズコは亡くなり、それに着いていくようにリョウもいなくなる(やっぱり幽霊だったのか) リョウはカズコが思いを寄せていた人だとわかったけど・・・あれ?中性っぽくは見えるけど、リョウって女の子なんだよね? あらすじには「三人の女性の生き方を通して、家族の愛憎と断ち切れぬ想いを描く」とあった。 確かに彼女らの生き方はそれぞれ違うけど、けっこうマイノリティな生き方なんじゃないかな〜 三人だけではなく、祖母カズコの自由な生き方もあの歳では珍しかったに違いない。 そういう意味では血は争えないというのは当たっているかもしれない。 キャスト的には、ミナが最高に良かった、最初のはすっぱな物言いも魅力的だったけど、ハマコやリョウに対して激しく変わる心情がおもしろかった。 リョウは中性っぽさを上手く利用しているなと思った。 まさしく幽霊役にぴったり。 ハマコの歪んだ性格は救いどころがなく「この人いやだ」w でも、人って苦労が重なるとこんなに歪むんだろうなと悲しくなった。 次の日(11日)に岩松了さんが出席されてのアフタートーク。司会がFPAP高崎さん、あと後藤香さんと森さん、田原さん。岩松さんが作品作りから関わっているのは前作からと同じだけど、笑い話に・・・パソコンをしない岩松さんとのやりとりはFAXか電話で、教えたFAX番号が間違っていたとかで、何度送っても送れないって(大笑) 森さん天然過ぎ。 前回も岩松さんとのアフタートークを聞いたんだけど、今回はこなれているようで、岩松さんとの関わりも深くなったんだなと推察。 後藤香さんは作品を大絶賛!! 高崎さんは読めない顔をしていたのが笑えた。 さすが司会。  岩松さん曰く「いない人間をどれだけ丁寧に演出できるかが大事だ」つまりここではカズコや他の親戚の人々。 あと最初にずっと絵を描いていただけのリョウ。 うーん・・・よくわからない(^_^;) でも田原さんはそれを聞いて「凹みます」と言ってた。 そうなのか? 私はできあがった作品を見るだけの観客だけど、できあがるまでは労力を聞くと、なんでも大事に見なければならないと新年から再確認した。 HIT!STAGEぜひまた来てほしい。 ちなみに役者森カヲルさんと作家森馨由さんは同一人物です。