「キャタピラー」 映画 

teru10162010-09-10

1300円 ソラリアシネマ
福岡ではここソラリアシネマでしか観られない。 話題作だから見ておこうかなっとw まあ冗談だけど、寺島しのぶ銀熊賞をとった演技も観たかったし、いつも楽しいものを見てばかりでもいかんとちょっと自分に渇。 誰か一緒にいかないかと誘ったけど、そんな重い映画はいやだと全て断られ。 仕方なく一人で向かったけど、さすがにここでしかやっていないこともあり、20名ほどの入り。 お話は、戦地から両手両足をなくしてさらに耳も聞こえずしゃべれない状態で帰還した黒川久蔵を妻のシゲ子が献身的に世話するのだが、だんだん行き場のない怒りをどう発散すればいいかわからなくなってくる。 寝て、食べて、寝て、食べて。。食と性だけしか生きがいが残っていない久蔵もまた最初は勲章や新聞記事で自分を慰めていたものの、自由の利かない自分に向かってくる妻と戦時中に起こした中国人への強姦、殺人などのトラウマが重なり錯乱状態に。 最後は予想はしたものの、悲惨だった。 これは戦争映画ではなく「男と女の映画」、「人間と人間の映画」だというライターの記事を読んだ。 戦争や歴史や日本などどうでもよくなる一瞬がある映画だと。 究極は人間、男、女、それしかないんだろうな〜  戦争時代だから愛し合って結婚したかどうかわからないが、最初に夫が戻ってきたとき叫んで逃げ出した妻の態度が当然であろう。 夫婦と言えども人間だから。 思うに昔の女性は強かったな。 今も強いけど芯の通り方が違う。 たどたどしい婦人たちの訓練の様子や戦地に向かう男たちへの思い、そしてとまどいながらも気持ちの揺れ動きがありながらも、夫を世話しつづけたシゲ子はすさまじく強い。 それを演じた寺島しのぶは賞を取るにふさわしかった。 昔の時代だから顔はすっぴんに近いメイクでやつれた感じは出ていたが、やはり裸体は暗がりでもはりがあって美しい。 久蔵役の大西信満は初めてみたけど、あの役をやれる役者さんはそうそういないのではないだろうか。 セリフはないけど目にすごく力ある。 弱気になっていたり、強気で求めたりとか。 これは本当に見てよかった。 終わったあと帰り道で「この寺島しのぶがいいの?裸だけじゃない」と言ってるご婦人がいてちょっとびっくりした。 そういう意見もあるのね〜 パンフレットは1000円とちょっと高めだったけど、映画以外にもたくさんの読みごたえのある記事があったし、台本も載っていて良かった。 日本のタブーに挑戦していく若松孝二監督に感動した。 この作品は15歳未満は見れないけど、中学生なら見せてもいいんじゃないかと思った。