「hideの真似して死ぬなんて」 博多扇貝 

teru10162011-01-28

19時〜 1000円 非・売れ線系ビーナス
実在の人物を扱うだけにデリケートな作品だろうと思ってたけど、いい感じに仕上がっていた。 hideファンもそうでない人もなんだかほっとするような。 後追いした人たちには申しわけないけど、あの世で会えるわけじゃないのね〜と妙に説得させられる内容だった。 作者の死後感が想像されておもしろかった。 延々と繰り返される作業をしつつもギャグを忘れないのだ。 タケオ(北拓晃)はhideのあとを追って自殺。 姉のユイ(林良子)もhideのファンだったが自殺はせずに、友達のサユリ(ぽち)と亡くなったタケオを思う。 タケオはあの世で彼女らに似ている人がボールペンを作っては分解する仕事を繰り返しているのを見る。 あの世でhideと会えるわけではない。 みんな知っている人の顔に見えるのだ、と聞かされ愕然。 窓枠を通して現世を覗くとそこには好意を持っていたサユリや大好きだった姉ユイの現実が。 生きている人間は自分をすり減らしながらも過去を切り捨てて前に進もうとしている、それを見てさらに凹むタケオ。 獄卒(田坂哲郎)に渡された膨大なシフト表の束を1枚づつ落としながらぼやくタケオ。 女たちは感情もなくもくもくと作業を続ける。 配置が間違いだったと聞かされたタケオはシフト表の束を持ってドアを出る。 あ・・・1枚忘れてる。。。。と思ったらそれを拾った女が「それもまた、彼のすり減らした1枚」だって。 わわ、演出だったのか。 すごく自然に1枚落としてわざとには見えなかった。 直接のきっかけはhideの死だとしても、いじめっこのマサカズやその兄のミチカネ(田坂三役)はタケオを自殺に追いやった原因のひとつとして書かれているような気がする。 怪しげな占いで姉に迫るミチカネに惹かれる姉も現実なのだから。 作品も演出も非常におもしろいと思った。 細かいところまで行き届いていて。 台本が販売されていたので買って読んでみた。 おもしろい。 好きだったのは棒読みの女二人と情けない弟の対比。 ボールペンゆんたの楽曲。 劇中歌を楽譜に起こしていたマヤ北島さんを思い出す。 彼はあの世で誰に会っているのだろう。 時間も1時間弱であっさり終演。 短くまとめるって難しいと思うけどよくまとまっていた。 最近自分が長い時間だと集中が続かないのも短編に惹かれる一因なのかもしれないけど。 久しぶりに女優の林さんを見たようなする。