「散歩する侵略者」 北九州芸術劇場中劇場 

teru10162011-06-12

14時〜 4000円 イキウメ
すごく余韻の残る舞台だった。 脚本も演技も演出も効果もすべてが最高だった。 前回の食べ物連鎖もとてもおもしろかったのだけど、今回はそれ以上。 再演らしい。 いい作品は繰り返されるのだな〜  インパクトはそれほどないモノクロのちらし。 なんだかぼやっといている感じだけど、ストーリーはハードそう。 ちらしのキャッチコピーに「地球侵略会議はファミレスで」とある。 ふざけてんのかコメディなのか(そんなはずはない) 日本のある地域を限定して作られていたけど、私はすぐに沖縄をイメージした。 基地があって飛行機(自衛隊?)が飛び交う。 加瀬真治(窪田道聡)は失踪後に現れたときは人格が変わってしまったようだった。 記憶は残っているのに、別人のような真治を見た妻の鳴海(伊勢佳世)はとまどい、優しいことばをかけられない。 同時期におかしな事件が乱発しているこの町には真治と同じ症状の人が増えてきた。 「ある特定の観念を失う」これって観てるうちにどれほど恐ろしいことかがわかってきた。 記憶喪失よりやっかい。 どうもその観念を奪っているのは「宇宙人」のしわざらしい。 3人の宇宙人は日本人に乗り移っていたのだ。 なんで日本人? はおいといて。 真治、中学生の天野(大窪人衛)、立花あきら(加茂杏子)の3人。 宇宙人は研究と称して地球人の概念を奪っていく。 真治も鳴海の姉明日美(岩本幸子)から「家族」「血縁」の概念を奪ってしまった。 キーワード「もらうよ」のあとにガックリとした相手は涙を流し、その概念のない生物体となる。 通りすがりのフリーター丸尾(森下創)も真治から「所有」「独占」などの概念を奪われる。 明日美の夫、浩紀(安井順平)は警察官で一家惨殺事件の生き残りである立花を保護尋問する立場。 まさか宇宙人の一人とは思わず油断する。 立花の主治医車田(盛隆二)もあきらから「人称」の概念を奪われる。 関係性は複雑なのだけど、ストーリーはけっこうわかりやすかった。 だからこそのめりこめたのかな。 宇宙人はいわゆるガイドなる地球人を所有している。 あきらのガイドである桜井(浜田信也)はなにかの記者でありながら最初はあきらに非常に興味を持って支持していたが、最後にはその存在に恐れをなす。。。 はたして宇宙人は目的を達成できたのか?     ストーリーばっかりだらだら書いてしまったけど、個々のシーンが鮮明によみがえる作品だった。 ずっと浜田さんがいいなと思ってたのだが、今回は真治役の窪田さんが素晴らしかった!!! 子供のような屈託のない表情とセリフに引き込まれた。 3人の宇宙人のうち立花は最初の事件は凄惨だったけど、あとの存在意義ははたしてあったのかどうか。 そうか彼女のガイドであった主治医車田の存在がひきたつのかな?  最後に丸井の友達、長谷部(坂井宏充)のセリフも印象的だった。 ”自分も解放されたい、できないときは鎖を切ってほしい” 丸井の状態を半ばうらやましいと思っている彼にとても同感した。 終演後にロビーにいた前川さんに台本にサインをして頂いた。 初めて西鉄ホールでお会いしたときはとても怖いイメージがあったのだけど、今は大ファンになってしまった。 すべての要素が組み合わさって素晴らしい公演が観れるだとまた実感の一日だった。 秋公演では来てくれないようなので、また来年かな〜  イキウメ最強です。