「大鹿村騒動記」 映画 

teru10162011-07-27

1000円  
先日亡くなった俳優、原田芳雄さんの遺作となった作品。 公開初日には車椅子ではあるが舞台挨拶にも出られていたという話。 その映像写真を観るとかなり痩せておられた。 私は特にファンというわけではないが、歳が近い分、親近感を抱いていたので彼の悲報は残念だった。 長野県の大鹿村は村歌舞伎の伝統があった。 TVも普及はしたものの、昔ならではの娯楽が継承されているのがほほえましい。 その公演の主役をはる風祭禅(原田芳雄)は今年も公演の稽古で忙しい。 経営している「ディアイーター」にバイトを雇い稽古の時間を作る。 しかし、18年前にかけおちして村を出ていった、妻の貴子(大楠道代)と幼馴染の治(岸部一徳)が戻ってきた。 記憶障害を患った貴子はかけおちしたことも覚えてないというのだ。 いろんな問題が出てきて、歌舞伎の上演も危ぶまれたのだが・・・・  とりたてて大事件が起こるわけでもなく、日常生活にちょっと起伏を付けた感じのほんわかした話だった。 まあかけおちがちょっとしたことかと言われるとそうじゃないのだろうけど。 過疎化が進んでいる村には何か魅力を持たせなくてはいけない、ということで、伝統とか誘致とかに力を入れるのもよくわかる。 現実はもっと厳しいのだろうけど、歌舞伎上演の様子とか若者の描写とか(松たか子瑛太冨浦智嗣など)見ると村も魅力があるよね、と思わせる。 バスの運転手であり歌舞伎の女形担当の一平(佐藤浩一)も若いと思っていたら、もう50近いんだ。 三國連太郎との親子共演でまさに「継承」の実感があった。 石橋蓮司小野武彦、でんでんなど味わい深いメンバーはこういう映画にぴったりだと思う。 そして劇中劇として上演された歌舞伎「六千両後日文章 重忠館の段」衣装もメイクも素朴だけど本格的で良かった。 浄瑠璃、楽器もとても素人とは思えない。 野外に設営された舞台の前の桟敷席には村中の人間が集まっている。 いい場面では掛け声とおひねりが飛び交う。 博多座じゃありえないw この歌舞伎の内容は裏方をやっている寛治が雷音に説明している部分で十分にわかった。 そうか、源氏の栄華を見たくないから目を刺したのか。。。うわわわわあ〜   役者の歌舞伎の演技も良かった、特に石橋蓮司さんは本物の歌舞伎役者みたいだった。 大鹿村に現存する大鹿歌舞伎、もしやこの映画がきっかけで観光客が増えるかもしれないね。 私も近いなら行ってみたいな。 しかし、亡くなったとは信じられないくらいに元気な原田さんを見て感動した。 主題歌はこれまた忌野清志郎さんの「太陽のあたる場所」久しぶりに聞いた感動。 私は文章力がないし、思いを書き綴るのも苦手で、思ったことがなかなか表現できないのだけど、なんというか心から見てよかったと思える映画だった。 母にも勧めようと思う。 最後にとても心に残ったことば「仇も恨みも是まで是まで」私も恨むことをもうやめたい。 自分のために。