「二月博多座大歌舞伎」 博多座

teru10162013-02-06

16時〜 5000円 
六代目中村勘九郎襲名披露、夜の部。 演目は口上を含めて4つ。 歌舞伎で初めて3階席を取った。 少し節約しないと何も観れなくなりそうなので、安い席を選んで。 これで昼夜とも見れる。 うん、舞台全体が見渡せてなかなかいい。 ジェーン・エアも3階で観たけど、悪くない。 大向うをかける人も近くにいてなかなか盛り上がる。
「平家女護島 俊寛 一幕」近松門左衛門
以前博多座で、勘三郎丈の替わりに橋之助丈の俊寛を観てかなり感動した。 勘三郎でなきゃ観ないというファンも多くて、キャンセルもあったようだけど。 私は橋之助丈の俊寛にいたく感動した。 それから今回の仁左衛門丈の俊寛。 いや〜彼もすごい。 華やかな場面の多い歌舞伎にあって、こんな地味というか粗末な衣装で演技だけで魅せてくれる作品は他にないのでは。 ストーリーはシンプルなのだけど、その心情風景の表現の多彩さがこの作品の見どころだろう。 ひたすら帰りたいと願いながらも友の幸せも願わずにはいられない、ボロは着てもココロは錦。 そういう人間たちに憧れてしまう。 3階席だったので、周り舞台の見事さに感動。 ラストは島に一人残される俊寛の様子を海に浮かぶ孤島で表現してあった。 美しい。
「口上」
勘九郎丈襲名披露にあたって歌舞伎界の近しい者からのお祝いのことば?と受けることば。 そういうのを口上と言うものだと思っている。 違ってたらごめん^^; 並び出でたるのは、中村梅玉丈、中村錦之助丈、坂東弥十郎丈、片岡仁左衛門丈、中村七之助丈、中村橋之助丈、片岡亀蔵丈、中村扇雀丈、そして新勘九郎丈。 亡き勘三郎丈の話もたくさん出て、七之助丈と一緒に勘九郎丈の行く末を見守って欲しいとの数々のことばに愛されているな〜と思う。 その人柄の良さをまた実感した口上だった。
義経千本桜 渡海屋大物浦 一幕」
以前、義経千本桜の吉野山の段を観たが、それと比べてかなり重々しい合戦の様子が繰り広げられる。 舟問屋の渡海屋の主人、銀平(勘九郎丈)とその妻お柳(七之助丈)は平家にやぶれ、頼朝に追われている義経梅玉丈)主従を実はかくまっている。 だが、その実は銀平は新中納言知盛、お柳は典侍の局で、壇ノ浦の合戦で生き残った安徳帝(日下部大智、子役)をお守りする者たちだった。 知盛、典侍の局は圧倒的な演技で安徳帝を盛り立てる。 安徳帝役の子は地元の役者で特に歌舞伎とは関係のない子のようだったけど、この格式ある役をすばらしく演じていて、ちょっと驚いてしまった。 なんというか静の状態を上手く保てるというか、けっこうじーっとしている場面が多かったような気がしたので本当に見惚れてしまった。 「とーもーもーりー」というセリフが甲高く全然ぶれてなかったので、すごい!!! と思ったのだ。 そしてこの安徳帝をめぐってのシーンがまた涙涙だった。 天皇という地位の高い人に限らず子どもを不幸な目にあわせるのは人間としてやるべきでない。 もしも、高齢の人か子どもかの究極の選択の場面に出会ったら、私は間違いなく子供を選ぶ。 たぶんね。 そして、素晴らしい演技の勘九郎丈に拍手。
芝翫奴」長唄囃子連中
しかんやっこ、と読む。 変化舞踏と言って次々に扮装を替えて演じる舞踏のことで、それを得意とした中村芝翫に因んだものらしい。 イヤホンガイドの解説ではお口直しとかデザートとかアクセサリーとか言われていて扱いは軽いけど、ちゃんとした舞踏で、時間的には15分程度だったけど、楽しい舞台を橋之助丈が演じてくれていた。 確かに義経千本。。 でかなり満足の状態ではあったんだけどね。  これで〆!という意味合いはあったかもしれない。
それにしても、A席18000円はやっぱり高すぎると思う。 博多座さんの問題なのか歌舞伎界の問題なのかよくわからないけど、もっと歌舞伎を広めるには敷居を低くしてほしい。 もっと若い世代にも観れるように。