「台風」 ハコビル2階

19時〜 1200円 ぐにゃり


九州戯曲賞大賞受賞の谷岡紗智(さちん)さんの第2弾。 受賞作品は先日リーディングで拝見した「家出」だが、力みのない淡々とした作品の内容がすごく魅力的だった記憶がある。 今回の「台風」はちらしにいじめの話だということが載っていたので、真剣に観なきゃねと構えていたが、笑える部分や手作り人形があったのでほっ。 またこの小屋が元歯医者さんだったという箱崎の町によく見られる歴史のある家屋だったのがなつかしい感じだった。 靴を脱いで急な階段をのぼって2階に上がる。 元診察室だったのかな〜 ちょっと広めの部屋に30ほどの椅子と座布団。 照明も3基ほどで手作り感満載の舞台。 ファンヒーターが入れてあって花冷えの季節に心地よく。

ミヤタ先生(庵原陽子)スガワラ先生(ウラジミール大屋)オオバヤシ先生(鹿児島寿)はいじめによる自殺事件があった中学に勤務している。 それぞれの立場でなんとか今を乗り切ろうとする三人。 マスコミやモンスターペアレンツ、加害者の生徒などに対して、熱血教師でありえるはずもない。 「先生」の立場からすると可哀そうな気もするが、先生だって人間なんだもん、しょうがないのかな。 特にミヤタ先生に対して加害者の男子生徒から娘に対しての報復をささやかれたときは映画の「告白」を思い出した。 あれもすごい話だった〜

それにしてもテーマの台風との関連はその目の中は静かであるとか、黙っていればやりすごせるとかういうことだったのかな、すごい発想だな。 まだ20代のさちんさん、九州戯曲賞受賞時の選評では審査員が全員高評価でこれからが期待される戯曲家だ。 でも当の本人はがっつり演劇だけに固執しているわけではないらしい。 その自然体がまたいいのかもしれないけど。