「片鱗」 西鉄ホール

teru10162013-12-07

19時〜 4200円 イキウメ

作・演出 前川知大

前回公演から半年後、非常に楽しみにしていた。今年一番面白かった「獣の柱」や今までのSF風の話とは違って、
今回は全体的にホラー、その立役者が手塚とおるさん。イメージというか深層心理というか、その怪しげな風袋としぐさ、
表情とメイク、全てが恐い!!結構客席にも進出してきていたが、側で観たら血の気がひいたかもしれない。
よくあんなふうにねじ曲がるなというくらい体が柔らかい。そしてあの舌、真っ赤だった(><)

一方、4世帯の住人は全く逆にリアルでやりとりがコミカル。でもコミカルなだけに状況の変化や感情の露出が際立つ。
4つの正方形の台を並べ4世帯を表現、十字路を斜めに作る。
引っ越ししてきた安斎親子が引っ越し蕎麦を配る、蕎麦アレルギーのことを考慮してパスタも用意。
蕎麦アレルギーの私は最初から吹き出す。ご近所で仲良くしようとみんなで言うのだが、不思議な現象が次々と起こりだした。
知らないうちに水が漏れていたり、金魚が死んだり、植物が枯れたり。いろいろいろいろ。。。
不審者の懸念と新参者への疑惑が持ち上がる。そんな中で一番最初の犠牲者は一人暮らしの佐久間だった。
「許さないからな」と口癖のように繰り返し、おかしくなって入院、そして自殺。そして大河原妻の希も佐久間と同じ状態に。
それは夫が浮気しているからだけともとれるが、あきらかに見えない何かに影響を受けていた。
そして和夫は安斎の娘、忍と深い仲になり、10代で父親になってしまう。
なんとなく収束したように見えたかのご近所騒動。。。しかし最後のどんでん返しが・・ひや〜〜〜


脚本と役者さんがいつもぴったりはまるイキウメ、今回初登場は忍役の清水葉月さん、16くらい?可愛いし憂いを含んだ表情がいい。
ベテランの安井さん、岩本さん、浜田さん、伊勢さんは本当に上手いなぁ。大窪さんも年齢不詳なところが好き。
ホラーというのは目に見えないもの理解できないものをを怖がることだろうと思うのだけど、普段の生活で見過ごしているようなことを
クローズアップして台の上に乗せてこれでもかと迫る。象徴的だったのは「水」床から湧きだしたり、手塚さん演じる男がばらまいたり、
おかしくなった人物からまるで失禁したかのように流れ落ちたり。
「許さない」とは何に対してだったのだろう、常に観る側に問いかけてくる。今年のベストに近い。