「寺山修司とポスター貼りと。 僕のありえない人生」福岡市赤煉瓦文化館

teru10162014-08-20


19時〜 演劇書を読む会

寺山修司と出会ってポスターを貼り、会社までたちあげた笹目浩之の自伝。
サブタイトルに「ありえない」とは書いているものの、笹目さんはいつの時点でもぶれていなかったのがすごいと思う。
もちろん、考えは変わるし、悩むときもあるのだけど、こうときめたら一直線。
よくあるサクセスストーリーかとも思うけど、お金の話より人の話が多くて、財産は人なんだなぁと改めて思う。

笹目さんの人生の転機は寺山修司の舞台だった。演劇の面白さにのめり込んでいった青年はあるとき九條今日子さんにポスター貼りを頼まれる。
こうして寺山修司をきっかけにポスターを貼りながら次々といろんな人に出会っていく。ポスター貼りの会社まで設立した笹目さんに
今度は演劇プロデューサーの話がくる。なんという幸運か、いや運を引き寄せているというか。

波乱万丈な人生は憧れではあるが、自分がそういう波に飲み込まれるのは厳しい。そして家族もそうあってほしくない。
すごい人だな〜と思いはしたけれど、親は辛かっただろうなという思いのほうが先に立ってしまった。
何年も浪人して結局第一志望には入れず、やっと入った大学もわずかで退学という。勘当されてもしかたない。

夢を持った、また夢を持たない若い人に読んでもらいたい本かなと思う。
自分がやりたいことが困難な道で迷っているのなら後押しができるのかもしれない。
何をすればいいかわからないなら、とりあえず何でもやってみろと言えるのかもしれない。
そうすることで、何かに繋がっていく。そういう縁を広げていきなさい、と。

次回の課題本は「ブルーシート」飴屋法水著 第58回岸田國士戯曲賞受賞作品。