「走れメルス〜少女の唇からはダイナマイト〜」 湾岸劇場博多扇貝

teru10162014-09-19


19時〜 1000円(ペア券一人分) 演劇ユニットそめごころ

作:野田秀樹 演出:中村大介

今日は近くでイベントがあってないようだ。ラッキー
一番近くて安い駐車場に停めて、会場へ向かう。
サンパレスホテルの中を通り、従業員らしき人からお辞儀をされ、
「ホテルの客じゃないんです、ごめんなさい」と心の中でつぶやく。

ついこないだ任侠の世界になっていた扇貝は
中世の遊郭を感じさせるような不思議な空間に。
この年代設定はいつなのだろう?おそらく私の年代に合致する感じだ。

2004年初演と思いきやなんと!! 1976年に夢の遊眠社初演だった、
私が19歳のとき、まだ演劇なんて全然見るきっかけもなかった時。
今回の役者たちがまったく影も形もない時!
すごいな〜〜この時を過ぎて色褪せない舞台。
若いそめごころがすごく熱い舞台を魅せてくれた。

こちら側の世界とあちら側の世界の対比。
こちらの下着泥棒の久留米のスルメ(石田聖也)恋慕うようにもてあそぶ芙蓉(小柳緑子)
あちら側では有名タレント並みのメルスノメルク(君島史哉)と結婚式から逃げ出した零子(清水ミサ)

それを隔てるのは芙蓉の鏡台。鏡って昔から不思議な魔力を持つ小道具だね。

それに桐島洋子(中崎正人)と3人の娘たち(瀬戸愛乃、足立万実、岡部涼子)
7人の刑事(山内晴貴、古野裕基、甲斐光、永友裕梨、早樋寛貴、松田隆寛、池田稔
達が絡みまくる。 最初の4名以外は複数キャストをこなす。

内容はかなり複雑で、部分的にはわかっても繋がりがさっぱりわからない。感性の芝居か。
名前とか「主が死ぬと部下にするの メルス」とか「お砂糖に火をつけて」など
回文とかいいまわしを解読するおもしろさとスピードのあるセリフのやりとりの痛快さ。
心中の悩みの吐露などなど・・・
メルスなんていない?とか、なぜ殺してしまったのか?とか。
わからなくてもこれだけ惹きつけられるこの脚本だからいろんなところで上演されるのだろうか。

池田商会の中村氏に演出を頼んだのはそめごころ組が全員出演しているからかな。
確かにかなりの運動量で、演出と出演は兼ねられないだろうね〜
主宰の君島氏は余裕のない体を張った必死の演技だったけど、こういうの嫌いではない。
"一生懸命"というのは70年代を過ごしてきた者にとって懐かしいものだ。
もちろん、たっぷり余裕のスルメを演じた石田氏も良かった。
芙蓉や零子の妖艶さもよく出ていた。

私が観たのはノーマルキャスト。シャッフルキャストも観てみたかったな。
そめごころ、花丸上昇中(^^)v