読演142「善蔵を思う」 アトリエ戯座

2023年3月20日(月)

15時~  1500円  (有)演戯集団ばぁくう

作  太宰治
読演 佐藤順一

Dと呼ばれる作家=「私」が語る一人称の告白文体。
ある日、郷里の有名な新聞社から、D宛てに招待状が届く。
-郷土出身の芸術家を招いて懇親会を催す-というのである。
「私」は出席することにした。そして・・・
「私」は、盛んに自身を悪魔だの駄目男だのと縷々告白するが、
その過程の描写がなんとも滑稽で、思わず噴き出してしまう憐れな
おかし味を誘う。なるほど・・
「太宰はコメディアンというのも頷ける・・・
(ちらしより)

のっけの偽物の薔薇を買わされたくだりから、
自分を浮遊霊のように客観的にみている感じが興味深かった。
私もときどき自分を空の上から見ていることがあるから。
あーまた騙されている。ばかだな~~なんてね。
そしてだんだんと自虐気分に陥るのだ。
心の中では、あーしなければ、こーしなければといろいろ考えるくせに、
実際には何もしない、できない。そしてまた自己嫌悪だ。
宴会なんて出たくない。酒が入るとろくなことをしない。
人に媚びたくない、自分にうそをつきたくない。
でも、日々のちょっとしたことに喜びを感じてにやにやしてしまう。

あれ、えらく自分のことと重なってしまった。
太宰のような天才であるのならその性格もいいのかもしれないけれど。
凡人であるくせに自虐癖があるんだよな。。今更ながら性格を変えたい。

佐藤さんはほんとに淡々と読演をされて、加齢を嘆いておられたけど、
彼の経歴を見ると素晴らしいと思わざるを得ない。
そういう方とお話しできるだけでも、私には幸運なことなのだ。