「精霊流し」 甘棠館Show劇場

2023年9月3日(日)

13時半~  2000円  アートユニット・ナイトフライトシアター

脚本 岡部耕大
演出 高橋克昌

かつて炭鉱の町として栄えた、長崎県松浦市
生まれ故郷を死に場所と決めた女。
松浦で生き続ける宿の老女。
終戦記念日精霊流しの夜。8月15日。
二人は互いの身の上を語り始める――
(ちらしより)

観劇前に知り合いから連絡があり、岡部耕大さんは先日亡くなったと聞いた。
存じ上げていなかったので、調べてみると、著名な劇作家さんで
たくさんの作品を書いて高い評価を受けておられた。

シンプルな舞台で二人の登場人物が淡々と台詞を紡ぐ。
松浦市から出たことがない老婆のことばは重い。
戦争を体験し家族を亡くした彼女は、それでもここで生きていく、と話す。
不倫の末、死ぬつもりで故郷へ戻った若い女もその話に頷く。

出演の役者さんは2人とも戦後生まれの女性だ。
大事なこと、大切なことを演劇で伝えられる役者さんはすごい。
本読みから稽古、本番までずっとこの戯曲にはまっていくのだ。
そして私たち観劇者の心を震わせる。

私自身は長崎の炭鉱町出身なので、二人のセリフや町の様子には
さらに感情を高められた気がする。

終演後に知り合いの女優さんにお会いした。
体調をくずして活動されていなかったのだけど、
この公演を観て、また舞台に立ちたいと、涙ぐまれていた。

とてもいい舞台だった。

キャスト
森武マイ
峰尾かおり