「無駄な抵抗」 世田谷パブリックシアター

2023年11月11日(土)

19時~  8500円  世田谷パブリックシアター主催公演

作・演出 前川知大

アラジンの余韻が覚めないままに汐留の町をぶらついて、次の劇場に移動。
東京ってあまり変わってないなと思いながら渋谷から三軒茶屋へ。
トラムは少し覚えているけれど、パブリックシアターはほとんど記憶がない。
でも中に入ったら記憶が戻ってきた。素敵な劇場だ。
今回は2階席で、とてもよく舞台が見える。
しかも今回のセットは野外の舞台のように、すり鉢状の駅前広場で
階段状になっていて、そこにみんな腰かけたりしている。

電車が停まらなくなった駅前広場で、
カウンセラーの桜とクライアントの芽衣が待ち合わせしている。
実は二人は同級生だった。
芽衣の話す内容は実に衝撃的で、父、母、叔父、そしてホストとの
生々しい関係。元占い師だった桜の予言を恨んでいるような芽衣
二人の回りには芽衣の親戚や関係者、駅員、清掃業者、大道芸人などが
聞き耳をたてているような。。。


複雑な人間関係も観ているうちにだんだんわかってくる。
それぞれの人物の行動や心の内を想像しながら観るのだけど、
浜田さん演じる大道芸人はちょっと難しかったな。
ストーリーテラーでもないし、誰かの関係者でも駅の人間でもない。
でも妙に気になる人物だった。
芽衣の告白はなんとかしたいということでなく今まで誰にも
言えなかったことを吐き出したという感じだ。
オイディプス王」がベースと書いてあったけれど、違うのでは?
明らかな虐待と犯罪だ。想像はついていたけれど、台詞にのると
鳥肌が立つ。池谷さんの熱演だった。
桜役の松雪さんは美しくて柔らかい物言いだけど迫力があった。
新感線の舞台でも輝いていたけれど、いろんな顔を持つ女優さんだな。

重いストーリーだったけど、とても見ごたえのあるいい舞台だった。
久しぶりに前川さんの作品が観れた。

キャスト
山鳥芽衣  池谷のぶえ
鈴木理人  渡邊圭祐
佐久間一郎 安井順平
ダン    浜田信也
山鳥文   穂志もえか
色川りさ  清水葉月
山鳥潤   盛隆二
日暮栄   森下創
島忠    大窪人衛
二階堂桜  松雪泰子